#172ワイヤー
「それはまた随分と面白いですね。」
「悪いか?人間誰しも自分の人生の主役なんだぜ。」
「そういうのは勝ってから言って欲しいですね!!」
アレイスターは先端に鉤爪のついた細いワイヤーの装置を発射した。
「私はあまり剣が好きじゃないんですよ。そこでこのワイヤーです。」
バシュッ!!っと飛び出たワイヤーはそのまま壁に突き刺さる。
すると装置が作動し、自動でワイヤーが巻き取られて壁の方に高速で移動した。
まるで進撃の◯人の立体機動装置、モンハンのクラッチクローのように。
一瞬で壁の方に移動したアレイスターは今度は別のワイヤーを飛ばしてきた。
「こんなの断ち切れば終わりだろ。」
俺がそう言って剣でワイヤーを切ろうとすると、
フワァァァァァァ
「ぴぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ♡♡♡」
ワイヤーには聖属性が付与されており、一発で天に召されかけた。
こいつ俺が聖属性大の苦手だということを知っていたのだろう。
ピン、ピン、ピン!!
アレイスターは次々と糸を張っていく。
「さてこれで身動きが取れなくなってきましたね。」
最後の糸を貼り終えたアレイスターはこちらにワイヤーを向ける。
「知っての通り僕はこの世界では『天使』という種族なので聖属性は効きません。ところが君は聖属性が大の苦手。これでもう袋のネズミです。」
パシュン!!
ワイヤーが俺に突き刺さる。
鉤爪で俺の体の肉をガッチリと掴んで離さない。
「ヤベッ。」
俺はそのまま自動巻き取りによって糸の方へと引きずられていく。
プチンプチンプチン!!
「んぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ♡♡♡」
約四本の糸に引っかかり俺は悶え苦しみ、そのまま壁に放り出された。
アレイスターは微笑みながらワイヤーを触っている。
アレイスターはワイヤー発射装置にナイフを仕込み、俺に近づく。
「終わりだ。」
アレイスターが最後の一歩を踏み込むと、地面に陣が浮かんできた。
「こ、これは!?」
「お前がさっきやってたトラップだよ!!」
俺は壁に激突して煙が上がっていた時にひっそりと錬金魔術を発動していた。
大量の魔力を硬い鉄に錬金し、地面に潜ませていたのだ。
「くらいやがれ!!」
ゴキーーーーーーーーン!!!!!!!
「はうっ!!」
鉄の杭はアレイスターの金玉に命中した。
次回投稿は12月25日0時0分から!!
最終章もあと少し、お楽しみに!!!!




