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【完結済み】世界のためなら何度でも  作者: 社長
第十章、二人の葛藤
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#168 割られた核

スケルトンにもゴーレム同様核が存在する。


その核を割られれば全身への魔力の供給が停止し、活動が止まるのだ。


「ふぅ。」


リンは手を抑えながらも目的は達成したと言わんばかり汗を反対の手で拭う。


ミルドに刺さった触手がズブリと音を立てて抜ける。


ミルドは紐が切れた人形のようにパタリと倒れ、動かなくなった。


全身への魔力供給がなくなり、体を動かせない。


もうそろそろ思考も凍結してしまうだろう。


(まだ、まだだ!!)


そう思うだけで体は一ミリも動かない。


情けない話だ。


あのままだとリンはゼロを殺すためにあっちの方に行くだろう。


そうなればあのゼロでも勝てはしないだろう。



愛するものを守れないで何が不殺の覚悟だ!!!!



闘志が宿る。


決意がみなぎる。


触らせない殺させない。


一瞬でいい。


一瞬でもいいから動いてくれ!!!!


割られた核に残ったわずかな魔力が闘志と決意で増幅する。


1秒は動ける。




行動は一瞬だった。


ミルドは握ったままの剣を再び握りしめる。


そして力の限り足で地を蹴り、リンのすぐ後ろに移動する。


「!?」


リンも突然のことに驚き狼狽える。


そのまま力強く剣をリンの心臓に突き刺した。


リンに刺さった力は慣性によりそのまま心臓を貫通した。


しかし血は出ていない。


そう、神剣は人を殺せないようになっている改心の剣。


これでもう殺意に任せて人を殺すことは無くなるだろう。



ガチャン



まとまった骨が落ちる音。


ミルドは剣を突き刺したのを見届けると地面に崩れるように落ち、そのまま



思考を停止した。









ゼロがその惨劇を目にしたのはミルドが倒れてから数分後だった。


ゼロはすぐさまミルドに駆け寄る。


しかしもう目に生気を宿していないただの人骨だ。


肩を何度揺らしても返事も反応もない。


ゼロは、感情をむき出しにして泣いた。


そんな機能もないくせに涙はボロボロとこぼれ落ちる。


博士がくれた、人間に似た機能なのか。


涙は永遠にこぼれ落ちる。


マスターに言えば元に戻せるだろうか。


いや、以前一度戻した魂は二度と戻らないと聞いた。


もう、私の愛した人は二度と戻ってこない。





【剣帝】のミルド死亡


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