#156 思い出
『さぁ開いたぞ。大きすぎるからここから少し離れた平原に作った。まぁお前の他の生物には触れることはできない。やりたいことがあるんだったら済ませてから登るといい。神王の階段はとても長いからな。』
そういうとイェーガーはまたただの光る粉となってどこかへ消えて行った。
「マスター。」
「我が主人よ。」
2人が本当に行くのかという目でこちらを見てくる。
「安心しろ。定期的に会いに戻ってくるから。それより最後に行くべき場所があるから神王の階段があるそばで待っててくれ。」
そう言って俺はテレポートで理想郷:エデンへと向かった。
理想郷:エデンの神殿前
「ユイ、来たぞ。」
ここには天使たちとミルドとゼロがたててくれた墓がある。
もちろんユイのだ。
「お前の助けがなかったらここまでくることはなかった、黙って死ぬことしかできなかった。だから本当にありがとう。」
俺は墓に花を添える。
「なんだそれ、ユイの墓か?」
後ろから声をかけられた。
見知った声。
そう、ハジメだった。
「ハジメ。」
そのハジメの姿は作業服にヘルメット、ツルハシを着ている。
おそらく復興の手伝いをしているのだろう。
「お前は俺のこと恨んでるよな。」
そう言ってハジメはヘルメットを脱ぎ、頰を差し出す。
「思いっきり殴れ。」
「フン!!!!」
バキッ!!!!!!!
「あぐぅぅぅぅぅぅ!!!いってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」
俺の渾身の一撃を食らったハジメはこの前の戦いのように地面に叩きつけられ、ジタバタともがく。
しかしすぐに立ち上がり、
「聞いたぞ、お前神王になるんだってな。お前の恨みがこんなもんじゃないことはわかってる。だから定期的に俺を殴りに戻ってこいよ。」
そう言ってハジメはヘルメットをかぶり直して元来た方向へ戻っていく。
………………。
「ツンデレ。」
「は、はぁ!?別にツンデレとかじゃねぇわ!!!!」
ハジメはダッシュでどこかへ行ってしまった。
この世界では色々あった。
魔獣の森に転移させられて、
人の暖かさを知って、
人間食ってチートに目覚めて、
女神の使者を装った敵と戦って、
ゼロとミルドという最高の仲間に出会えて、
ハジメと一緒に竜を倒して、
学校の不死身の委員長と戦って、
ゴキブリ大好き少年に勝って、
ベルゼブブと出会って、
正義と戦って、
死んで、
千剣に勝って、
正義ともう一度戦って、
委員長と竜を倒して、
ダークとあって真実を知って、
初めて敗北を知って、
仲間と試練を乗り越え、
正義と竜に勝って、
ユイの正体を知って、
天之川と宇宙を見て、
ハジメを倒した。
本当に長い戦いだった。
「行くか。」
もうすぐ、長い戦いが終わりを迎えるのだ。