#155 神王
魔国グラトニウス、国王の城
「「おかえりなさいませ!!!!」」
俺がハジメとの戦いに勝ち城へ戻るとゼロとミルドが出迎えてくれた。
「あぁ、ごめんな。お前たちとの忠告を無視して行っちまって。」
「いえ、主人が無事で帰って来てくれるならもうなんでもいいです!!」
俺はミルドが泣きついてくるのをサッとかわして椅子に座る。
「しっかしどうやって神王になるんだ?世界神であるユイが死んじまったら誰が代わりに俺を神王にするんだよ。」
『それは俺さ。』
キラキラと光る粉が部屋に現れ、それがグルグル回って人型のようになる。
『俺は【四代目神王】ゼルディア=イェーガー。君達と会うのは初めてかな。』
「一度ユイの作った偽物とあったことはあるけどな。」
『やれやれ全くだよ。早乙女結衣は神として重大な違反を起こした、それを咎めようとしたらまさかの死んでて本来主人公でないはずの君が条件を満たしてしまってるんだから。』
イェーガーはポリポリと頭をかく。
『まぁ何にせよ君は世界神の手助けはあったものの《量産型神成の神王化条件》であるポイントを達成してしまった。本来世界の全ての生物を根絶やしにするレベルのポイントなんだけどやはりこの世界はイレギュラーだな。』
イェーガーは紙にペンでサラサラと何かを書いていく。
『まぁでも凶魔王にしたハジメもその他の刺客も全て倒す力量、あのへたれ主人公よりよっぽど神王にふさわしいと俺は思うよ。』
サラサラサラサラ
イェーガーはどんどん紙に書いていく。
『君は、合格した。厳しい審査を超え、試練に打ち勝った。生きる権利を得たんだ、おめでとう神成聖夜。君に【五代目神王】としての権利が与えられた。』
パン!!とイェーガーは用紙に『狩夜』と書かれたハンコを押す。
その隣には『友夜』と書かれたハンコが。
『今から神王への階段を出現させる。とても長い階段だが登り切った先に初代神王様に会え、ハンコをもらってこい。それで晴れて神王としての生活が始まる。』
「神王になったらここへは戻って来れないのか?」
『これるよ。それも結構な頻度でね。意外と神王ってのはひまのもんなのさ。ほとんどを世界神や初代がやってくれるからね。』
「最後にもう一つ、俺が神王になれば他の世界の神成はどうなる。」
『…………。』
イェーガーは少し黙ったあと、
『消える、世界ごとな。』
そう言い放った。
「お前もそうだったのか?」
『あぁ、最初は心苦しかったよ。でもな、よく考えてみろ。自分の命だけが一番大切だろ?人の命のことを考えて自分が死ぬのか?』
「いや、もういい。」
俺がそういうとイェーガーは階段を出す準備をする。
そうだ、自分の命だけが一番。
わかっているだろ。
だからここまでやってきた。
初めて人を喰い、天之川もハジメも殺した。
ユイの死の悲しみももう薄れてきている。
他のやつの命なんて関係ない。
ははっ、昔だったらこんなことは考えれなかっただろう。
「もうこの世界に来た時点で俺の心は壊れてたのかもな。」
とうとうここまで来ました




