#EX その後の天界
天界に一柱の悪魔が降り立った。
「な、悪魔だ!!」
1人の天使がそう叫ぶと瞬く間に天使たちは逃げ惑う。
本来天使は地獄に、悪魔は天界に行くことはできない。
できるのは超高位の悪魔と天使のみなのだ。
そしてこの破壊され復興に忙しい天界に高位の悪魔が来たとなると侵略と思われても仕方がない。
ましてやこんな黒いモヤの不気味な悪魔。
怖がられるに決まっていた。
するとそこに槍を持った兵士たちが集まってくる。
「そこの悪魔!!そこから一歩も動くなよ、動いた瞬間お前の首を掻っ切る!!大人しく手を後ろに組んで跪け!!」
サタンは言う通りに手を後ろで組み、跪く。
すると天使兵たちは刺股でサタンの首をガッチリと押さえ込んだ。
「目的を言え。嘘をついたりすればこのまま殺す。」
「……吾輩は、この惨劇を起こした張本人だ。」
「!?」
「神王候補を呼ぶ目的のためこの惨劇を起こしたことを心から謝罪する。」
そう言って深々と地面に頭を擦り付けて土下座をする。
悪魔が羽の付け根を晒す時、それは心からの謝罪、降伏を意味する。
「私は友の願いを叶えるためにここへ来た。吾輩の幸せは友の幸せ。もう直ぐここに裁かれるべき魂がやってくる。その者を許してやってはくれないだろうか。」
悪魔と契約した人間が死んだ時、その魂は天界で裁かれる。
サタンはそれを知っている。
「き、貴様!!」
「ただとはいわない。私の命を、地獄の王の首を持って我が友を許して欲しい。」
「そんなこと許されるわけなかろう、それに地獄の王だと?上等だ、ここで貴様を殺し友に首を見せて名前の通り地獄を見せてやるわ!!!!」
天使の兵たちが一斉に剣を構えてサタンを貫こうとする。
その気になれば逃げ出すこともできるがサタンは心を決めていた。
すまないハジメ。
お前との約束を守れなかった。
「待ちぃ!!」
1人の女性がその行為を止めに入った。
「み、ミカエル様。どうしてお止めに!?」
「くだらん争いを起こそうとすな。その子が羽の付け根を晒しておるのが見えんのか。」
「し、しかしこいつが嘘をついているだけの可能性が……。」
「悪魔はどの生物よりずば抜けてプライドが高い。そんな奴らがそう簡単に土下座なんぞせんわ。拘束を解き。」
「で、ですが。」
「うちが解けと言ってるんや。はよ解き。」
「…………わかりました。」
兵士たちは刺股と剣を収め、もといた場所へ帰っていく。
「なぜ吾輩を助けた。」
「うちの【天命】で嘘をついていないことはわかる。それに友を思う気持ちは本当のようじゃしな。ただ、助けたからには少し働いてもらおうかの。」
「働く?」
「見ての通り天界はボロボロじゃ、その復興の手伝いをしてもらおうかの。」
「なぜ……、吾輩を殺さない。」
「そうじゃのぉ。」
ミカエルと呼ばれた天使はサタンにニコッと笑いかける。
「人手不足……じゃからかな。ほれ、仕事の段取り説明するからはよぅ来い。そうじゃ、お前の友達にも働いてもらうからの。」
そう言ってサタンはミカエルに連れられていった。
「ミカエル。」
「なんじゃガブリエル。」
「あなた【天命】はもう剥奪されたでしょ。なんで嘘をついていないってわかったの?」
「勘じゃ。私の勘はよく当たるでの。」
「あなたやっぱり変わった天使ね。」
ガブリエルは静かにミカエルのもとを去っていった。
去っていくガブリエルにミカエルは一言、
「私はただこれを機に悪魔と天使の仲が300年前と同じになって欲しいだけじゃよ。」
ミカエルは首にかけているロケットペンダントを開いて中の写真を眺めた。
その写真にはミカエルとサタンに似た男が幸せそうに写っていた。
果たしてこの巨大な伏線はどこで回収されるんですかねぇ。
(もう決めてるけど。)
ハハッ⤴︎楽しみ!!!!




