#142 天之川翔の独自魔術
「ゲフッ。」
ナイフということもあり傷は少ないがギザギザのナイフなので出血が激しい。
今のは超高速で投げたとかいう次元ではない。
何か、
時間が止まったようだった。
魔術とは神から与えられた武器であり、この時代では魔術で神を超えることはできない。
よって並行世界の移動、時間停止又は時間移動などはできないようになっている。
それができたのはこの世界が無法地帯であった時代、ユイの前の世界神である《豊穣の神》ニヒトによる世界の浄化によって滅んだ『暗黒時代』の生物のみなはず。（本で読んだ。）
「まさか暗黒時代から生きてるのか？」
「正解。これが僕の独自魔術、時間停止魔術。時間停止魔術の状況下では僕の身体以外のあらゆる動きが止まる。」
天之川は服のボタンをパチパチと外し、上着をバサッと翻す。
「僕は暗黒時代から今までずっと魔術を研究してきた。もちろんこの独自魔術も。」
服の裏には大量の投げナイフが。
「これはちょっとやばいな。」
天之川はすぐに魔術を完成させて宙に飛ばす。
来る！！
すかさず魔力で身体能力のうち防御力を重点的に強化しようとするが、
パッ
予想通り大量の投げナイフが飛んできた。
ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ
銃弾のように投げナイフが飛んできて俺の体を切り刻む。
防御力を上げているので死にはしなかったが完全には守りきれず、致命傷レベルの傷を負う。
俺は必死に回復を図るが回復する隙がない。
「形勢逆転、だね。」
俺は刺さったナイフをゆっくりと引き抜く。
天之川が魔術を使ってこないのが幸いだが痛いものは痛い。
ん？
なんで魔術を使わない？
そういえばさっき暗黒時代から魔術を研究していたと言っていた。
そんなに時間があったのなら《リトル・エクスプロージョン》の上位互換の存在であり、山を一つ消し飛ばす威力の爆発を起こす《バースト・エクスプロージョン》や《ハイエンド・ブラスター》の消費魔力と威力を格段に上げた《コズミック・パースター》なども使えると思うんだが。
…………。
「へっへっへっへっへ。」
「なんです気持ち悪い。」
「辛辣だなおい。」
俺は天之川の弱点に気付いてしまった。
それは、
