#139 一方その頃
499階モニタールーム
「……、人選を間違えた。」
「あっはっはっはっは!!ゼロの圧勝じゃねぇか。」
水色の髪を持つ男、天之川と聖夜は二人仲良くモニターで仲間の戦いを見ていた。
「むぅ、こんなはずじゃなかったのに!!」
天之川はブスーっと顔を膨らませる。
「いや〜やっぱり俺の仲間な強いわ。下手したら俺なんかより強いかもな。」
「そんなわけはないでしょう。魔力も筋力も聖夜君が勝っているでしょうに。」
「いや、覚悟の問題だよ。あの二人は俺より早くエクストラスキルを習得できたらしいからな。」
俺は拳を握りしめる。
「……。」
天之川はミルクと砂糖がたっぷり入ったコーヒーを飲み干し聖夜を呼ぶ。
「さて、僕らもそろそろ戦わないとね。」
「あぁ。」
聖夜は自らを生かすため。
天之川は俺の魔力をすべて体から抜いてエネルギーにするため。
ゼロやミルドとは違う『命』をかけた戦いをするため、エレベーターに乗り込む。
500階屋上
「なんだここ。」
「ここが地上2500mのこの時代最も高い塔、天への道の屋上さ。どうだい、空が近いだろう。」
「確かに手を伸ばせば届きそうだな。」
「それは従来の考え方だったらだろう。空の先には宇宙が広がってるんだよ。こんなちっぽけな塔では届きすらしないさ。」
天之川は上を見ながら微笑む。
「みんなは幻想だとかそんなものないとか言ってるけどそんなの解明されてるだけであれかもしろないのにね。僕は宇宙があると信じている、そして必ずそこへたどり着いて見せる。」
視線を俺に戻し、
「だから沢山のエネルギーが必要なんだ。魔力だけじゃない、神の血を継ぐ君の生命エネルギーがあればまた一歩宇宙にたどり着ける。」
天之川は剣を俺に向ける。
「俺も死にたくないからな、お前を殺させてもらうぜ。」
俺も剣を天之川に向ける。
「君はどうして生きたいと思うんだい?」
天之川の唐突な質問に若干驚くがすぐさま、
「かけがえのない仲間に出会えたから、ずっとこいつらと一緒にいたいと思うからかな。」
「仲間思いなんだね。」
天之川はハッと息を吐き、俺を睨む。
そして、
「素敵な信念持ってるとこ悪いけど殺させてもらうよ。」
手を前に突き出して魔術を放ってきた。




