#136 生贄魔術
ミルドは剣を抜き、ダッシュでキャラメルに近づく。
キャラメルは静かに剣を構えている。
ミルドはキャラメルが攻撃範囲に入った瞬間剣でなぎ払う。
が、
「ガッ!?」
『おおっと!!突如地面かせりあがり、ミルドが天に打ち上げられた!!!!』
「錬金術ですか。」
「そうです。うちのフラメル家は代々優秀な錬金術師なんですよ。」
ミルドは空中で身をよじり、体制を立て直す。
「なかなかの身体能力ですね。」
「今は剣帝ですがだてに剣聖なんて名乗ってませんよ。」
「人を守る剣術ですか。実に紳士的でいいですね。」
キャラメルはスッと手を前に突き出す。
すると手の前に青白い色の穴が空き、中から沢山の動物が出てきた。
『これは、キャラメル選手の得意魔術の亜空間魔術だ!!動物園と言わんばかりの大量の動物が次々と現れてくる!!』
そして全部出し切ったのかキャラメルは手を引っ込める。
「私の独自魔術は使うのに魔力ともう一つ、対価を払わないと使えないんですよ。」
キャラメルは一匹の鶏に向けて手を合わせて三角のマークを作る。
「コケ?」
すると、
「こ、ごげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!」
鶏はミンチ機に入っていったようにブチブチと音を立てて血を吹き出しながら青白い空間の穴へ吸い込まれていった。
鶏だけじゃない、他の動物の全ても同じように血を撒き散らしながら吸い込まれていった。
「な、何を!?」
「生贄魔術、《サクリファイス》。」
キャラメルがそう唱えるとキャラメルの頭上に先程の青白い空間の穴が空き溜まりに溜まった血がドバドバとキャラメルの背面に降り注ぐ。
そしてその血がみるみるうちに血が刃の形になり五本の血の剣になっていく。
「独自魔術のもう一つの対価、それは命。命を対価に身体を強化し、物を作り出す。それが私の独自魔術、生贄魔術だ。」
「なんて外道な……。」
「外道?」
ミルドがボソリと呟いた瞬間、さっきまでと同じくニコニコとした顔だが声は明らかにブチギレている、
「外道……。お前もだ、お前もそういうんだな。」
ふつふつとキャラメルから赤黒いオーラが浮かび上がる。
「きゃあ!!」
それと同時に悲鳴が聞こえたのをミルドは聞き逃さなかった。
観客席の方を見るとそこは、
「な!?」
次々と観客が血を撒き散らしながら空間に引き摺り込まれていた。
キャラメルの刃はさらにデカくなり、ぎらついていく。




