#132 人の手によって作られた竜
前章のあらすじ
女神の正体を知った聖夜達は真理のほとんどを知った!!
そして次なる目的地、天之川魔術研究会の根城、天への道へ向かう!!
「キュウン。」
ルミナは暗い道を進んでいった。
主人であるグラトニーやゼロ(と骨)から離れるのは寂しいがそれでも勝たなければいけないという思いはあった。
しばらく移動するととても広い何かの研究室のような場所にたどり着いた。
この広さなら元の大きさでも大丈夫だろうと元の大きさに戻る。
『お、やっと来たか。』
上から声が聞こえた。
声の方を向くとそこにはバサリバサリと羽ばたきながら飛んでいる竜の姿があった。
しかしその竜の姿は初めて見るものだった。
一応全ての竜と面識があるルミナですら知らない竜。
新種か?
いや、竜は絶滅した存在だから新種が現れるなど有り得ない。
『何者だ?』
ルミナは静かに問う。
『そりゃびっくりするよな?何せ見たことない竜なんだからサ。』
『僕は何者だと聞いてるんだ。質問に答えろ。』
『……俺は《電脳機竜》フェル=ニグルー。天之川魔術研究会によって作られた《人造竜》だ。
『人間の手で作られた!?そんな竜いるわけない!!いやでも細胞レベルまで僕と似ている……。』
『オーパーツって知ってるか?』
『僕の父さんが生きてた時代、確か人間の言葉でいう暗黒時代の遺物だったっけ?』
『オーパーツの一つに古代龍の血ってのがあるんだよ。それを龍族である俺に無理やり注入することによって細胞の突然変異が起こりこうして竜の姿になったってわけだ。』
『そんなことあるわけないだろ!!第一一回で成功する確率なんて』
『一回じゃねぇよ。』
フェルはゆっくりと口を開く。
『この実験で何千人何万人も俺の同胞が死んでいったよ。』
その重い言葉にルミナは押しつぶされそうになる。
『まぁ同胞が殺されようが俺が生きてるだけでいいんだけどな。』
その重苦しい空気をぶち壊すようにヘラヘラとフェルは笑っている。
『そんなわけで自己紹介はおしまいだ、遊ぼうぜ。』
フェルは突然ルミナに襲いかかる。
『何を!?』
『な〜んだよ。ここにきたってことは戦う覚悟あってきたってことだろ?俺は遊びたい、お前は戦いたい。winwinの関係じゃないか。』
『なんだその理屈。』
ルミナは深いため息をつく。
そして、
『まぁ僕も遊びたいと思ってたんですけどね!!』
こうして、二匹の遊びが始まった。
ルミナやフェルは竜の言語を喋っていますが優しい僕が日本語に翻訳しています。




