#112 迸る閃光
博士の背後から大量の弾丸が放たれる。
一撃が重い。
ゼロはとっさに近くにある柱へ避難する。
しかしそれも時間の問題。
柱は時期に壊れるだろう。
「博士!!なんでこんなことするんですか!!!!」
「お前を強くするためだ。」
「私は……そんなこと望んでいません!!」
「自分のマスターを守れなかった分際でよくそれが言えたものだな。」
「!!」
昔の博士からは絶対に聞けない
いや、聞きたくない言葉が発せられた。
「昔の博士ならそんなこと絶対に言いません!!」
「俺はお前と違って人間だからな。昔と今とは心持ちが違うんだよ。」
そう言いながらも辛そうにしている博士の表情はゼロには見えていなかった。
「博士……、あなたは変わってしまったんですね。」
「あぁそうだな。お前みたいな出来損ないを作ったことを悔やんでいるよ。」
「そうですか。」
ゼロの腕から閃光が走る。
それはまさしくビームソード。
雷鳴のような閃光を纏ったビームソードがゼロの手から出ているのだ。
「もう私はあなたのことを創造主とは思いません。」
「そう、それでいいんだ。」
ゼロは目を血走らせてグランに走っていく。
グランはそれを銃撃で止めようとするが、
「止まらない……。」
どれだけ銃弾を浴びせてもゼロは止まらなかった。
そして、
ザシュッ!!!!!
ビームソードがグランの体をかすめた。
「確かに速いが、殺傷能力は全然だな。」
「それなら数で押し切りますよ。」
「おっ?」
ゼロは目にも留まらぬ速さでビームソードを振り回す。
ミルドのように繊細で的確な剣さばきではないがそれでも確実に数を打ち込む。
「お前も強くなったなぁ、だが。」
グランは背中の異次元空間から銃火器を全て引っ込める。
「近づきすぎだ。」
グランは巨大な大砲を出してきた。
「この至近距離からは逃げられんだろ。」
ドゥン!!!!!!!!!!
ゼロは超至近距離で大砲の弾をくらってしまった。
だが、
「絶対防御形態か。」
ゼロはかろうじて絶対防御形態になることで一命を取り留めた。
「絶対防御形態になると殆どの攻撃が効かなくなる。しかしその分ただでさえない攻撃力がさらに半減されてしまう。この次の算段はあるのか?」
「ありません。」
ゼロは即答する。
グランはあまりの速さの返事に呆れて頭をぽりぽりとかく。」
「あのなぁ。」
「なのでここからはゴリ押しさせていただきます。」
「は?」
ゼロはグランの元へ突進し、ひたすらにビームソードを振り回す。
「俺はもっと理性的に作ったはずなんだけどな。」
「人は変わるものなんでしょう?」
「ははは、笑えない冗談だな。」
グランはとうとう壁に追い詰められた。
「まいったな。」
これであとは一方的に攻撃を浴びせるだけで勝てる。
そんなゼロの考えは一瞬で覆された。
「お前がこんな単純に育ってしまったなんて。」
閃光が走った。
グランの指から伸びたその光は一瞬でゼロの体を、家具を、壁を貫通していく。
「魔力圧縮。自分の体内の魔力を一点に集中させることで莫大的な殺傷能力を生み出す。一度地獄の間を彷徨ったときにある悪魔に教えてもらったんだ。」
ゼロはグランの言葉を聞き終える前に倒れてしまった。