#111 二本目の剣の恐ろしさ
「おいおい、さっきより剣が鈍ってんじゃねぇか?」
「あなたの目がおかしいだけでしょう。さすが何百年も生きてるだけあって目も頭も相当悪いんですね!!」
「言ってくれるな。それなら実力で示してみろ……よっ!!」
アーサーはミルドの剣をひらひらとかわす。
それに伴いミルドも戦術を変えてアーサーを追い詰めようとする。
「我が主人が言っていたのと全然違いますね。」
「そりゃそうだろ。わざとまけろって命令されてたんだし。僕の演技もなかなかのものだったぞ。」
「言い訳ですか?」
「……なんとでも言え。お前たちに理解できることではない。」
途端にアーサーの剣撃が早くなる。
ミルドもそれに対応するために腕の動きを早くする。
目にも留まらぬ速さで剣と剣がぶつかり合う。
火花が散り、ガキンガキンと金属音が部屋に鳴り響いていく。
「魔術使ってもいいんだぜ?」
「あなたが使わない限り私も使いませんよ。そうじゃないとあなたに勝ったことにならないでしょう!!」
「あっそ、なら魔術使う。《ソードブースト》。」
「えっ!?」
急にアーサーが魔術を使ったことに戸惑いを隠せないミルド。
「あっはっはっはっは!!急だったからびびったか?」
「びびってなどいません!!」
「それじゃあもういっちょ、《スピードアップ》。」
「ちょっ!!」
アーサーは魔術で速さと剣の重さを上げ、ミルドを追い詰めていく。
「なら私も、二本目と魔術を使わせてもらいますよ。《ホーリーフレア》、《アンデッドフレア》!!」
「おっ。」
ミルドは『失われた聖剣』と『亡き者の聖剣』にそれぞれ聖と闇の炎を纏わせる。
「いいねいいね。二刀流か。それにその聖剣、僕が渡させた聖剣じゃん。」
「?これは我が主人から賜った聖剣で。」
「俺があいつに届けさせたんだよ。上からの圧でな。」
「そのさっきから上だとか選択だとか言うのはなんなのですか?」
「はっは、お前は知らなくていい。いや、今はまだ知らなくていい。」
「そうですか。なら要はないですよっ!!」
ミルドは身をよじり、体に回転をかけて二本の聖剣を的確にアーサーに打ち付ける。
「きくねぇ!!」
アーサーも負けじと魔術で強化された剣を振るう。
ブォン
「?」
ミルドは一瞬アーサーの剣から不穏なオーラを感じた。
だがその一瞬が勝敗に大きく影響を及ぼしてしまった。
ザクッ!!!
ミルドの意識が剣にいったのを確認したアーサーは二本目の剣を取り出しミルドを斬りつけた。
「悪りぃな、こっちの剣が本命なんでね。」
ミルドは何枚かの壁を貫通する勢いで吹き飛ばされた。




