#103 鍛治師ガーソン
「それで魔剣のメンテなんだけど。」
「わかりました。ちなみにその魔剣お持ちですか?」
「持ってるぞ。」
そう言って俺は魔剣を手渡す。
「……これが本物の魔剣ですか。確かに普通の剣と保有魔力量が段違いに違いますな。」
『そうだろう。何せ俺様が入ってるぐらいだからな。』
「喋った!?」
「あぁ、その魔剣悪魔が3体入ってるんだ。」
「悪魔を憑依させる魔剣……。素晴らしい、さすがは国王陛下の剣。」
「それで、メンテの方法を教えてほしいんだ。」
「そうですね……これほどの業物を素人が磨くには難しい、よければこの剣私が磨きましょうか?」
「いいのか?」
「ええ、私の店はそのようなサービスもしておりますので。国王陛下のお越しなので無料で大丈夫ですよ。」
「そういうわけにはいかねぇよ。ちゃんと金は払う。」
「作用ですか。わかりました、それでは今から磨き始めるので少しお時間かかります。その間に他の買い物も済ませておいたらどうでしょう。」
「そうするよ。ありがとな、ガーソン。」
「いえいえ。」
俺とゼロは鍛冶屋を出る。
「あのおっさん気前がいいな。」
「ガーソンさんはああいう人ですからね。」
「じゃあ今のうちにポーションとかかっとくか。」
「ですね。」
俺たちは鍛冶屋を後にした。
「ポーションってめっちゃ数あるな。」
「とりあえずマナポーションと回復薬は買っておきましょう。後スタミナポーションも。」
「ポーションとかも自分で作れたらいいんだけどな。」
「ポーションは調合師が作る方が純度が高いですもんね。」
俺はピンク色のポーションが入った棚に目をやる。
その棚には媚薬と書かれていた。
「……。」
俺はしばらく考える。
「ゼロ、俺決まったから店先に出とくな。」
俺は無言でそのポーションをレジに持っていき、店を後にした。
これは今度誰かで試してみよう。
「マスターなんか幸せそうですね。」
「そうか?」
「そういえばさっき媚薬の棚からひとつ消えていたんですけど。」
「ギクッ。」
「まさか買ってなんかいませんよね。」
「当たり前だろ、俺を誰だと思ってんだ?」
「むっつりスケベ国王でしたよね。」
「よーし次の店行くか。」
俺は早歩きでポーション屋から颯爽とはなれていった。