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模擬戦

 俺のホッパーソードの切り上げは、ミズ・ウルティカの銃剣でそらされる。姿勢を崩すことすらなく、完璧な受け流し。

 物理的身体構造的に不可能なはずのその動きを易々と実現してしまうミズ・ウルティカ。


(たった一合打ち合っただけで、優位が覆されたよ。やっぱりこの人も、人外のたぐいかも……)


 緩やかに流れる時間の中。切り上げを受け流され逆に体勢を崩され、隙を晒す俺。


(スキルが使えれば、まだ手はあるが……)


 素の実力では、素人に毛の生えた程度の俺では、こうなると打つ手がない。ただ、追撃を予想し、身を固くする。


 銃剣の取ってでの横払いが、俺に襲いかかってくる。

 脇腹に食い込む硬い感触。

 体をくの字に折りながら、わずかばかりでも衝撃を逃がそうとした時だった。


 模擬弾を発射した江奈が、ミズ・ウルティカに襲いかかる。

 はんば俺の脇腹にめり込んでいた銃剣のえがふっと消える。

 次の瞬間にはミズ・ウルティカは銃剣の刃先で発射された模擬弾を全て切り払い、魔法銃で殴りかかった江奈と、銃剣で切り結んでいた。


 衝撃でゴロゴロと転がる俺。

 脇腹の鈍痛。


 何とか立ち上がった時には、銃剣で打ち倒され、江奈が地面に伏せていた。


 声を上げるミズ・ウルティカ。


「朽木竜胆、貴方は動きが単調すぎます。生来の才能なのか、知覚速度の加速をしているみたいだけど、はっきり言って宝の持ち腐れです。オドによる身体強化すらも単調で、脳筋単純馬鹿ですか。」


 次にゆっくり立ち上がりかけている江奈に向かって口を開くミズ・ウルティカ。


「江奈・キングスマン、貴女はだいぶ腕を上げましたね。イドとオドが調和し、陰陽のバランスが取れた素晴らしい動きです。ただ、情報に踊らされてしまう気がありますね。私に銃弾が効かないからと安易に接近戦を選んだのは悪手でした。今回の私たちの任務は斥候です。斥候の役割は、誰か一人だけども生き残り、必ず情報を持ち帰ること。敵わぬ相手に無謀に突っ込んだ朽木竜胆は論外ですが、江奈・キングスマン、貴女もそれを念頭に動かなくては。」


 と言って俺達二人を見回すミズ・ウルティカ。


「さあ、継戦可能な程度にしかダメージは入ってないはずです。続けますよ。次は出来るだけ長く持ちこたえて見てください。」


 と言って銃剣を構えるミズ・ウルティカ。

 江奈が魔法銃を構えるのを横目に、俺もホッパーソードを構える。


(ミズ・ウルティカ、とんだ鬼軍曹だ……)


 こうして日がくれた。そこで終わるかと思った扱きは、暗視戦闘訓練の名のもと、日付が変わるまで続いた。

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