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巨人退治

 俺は装備を急いで替えると、ステータスを確認する。


 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 氏名 朽木(クチキ) 竜胆(リンドウ)

 年齢 24

 性別 男

 オド 27

 イド 15


 装備品 

 ホッパーソード (スキル イド生体変化)

 チェーンメール (スキル インビジブルハンド)

 カニさんミトン (スキル開放 強制酸化 泡魔法)

 黒龍のターバン(スキル 飛行)

 Gの革靴 (スキル開放 重力軽減操作 重力加重操作)


 スキル 装備品化′ 廻廊の主権

 召喚顕在化 アクア(ノマド・スライムニア) 送喚不可

 魂変容率 17.7%

 精神汚染率 ^D'%

 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 俺は飛行スキルを発動する。魔法陣から這い出てくる禍々しい翼が展開されるやいなや、振動を続ける大地から飛び立つ。

 上空に向かいながら、イド生体変化でイド・エキスカベータを発動。そこで、ふと、気がつく。気がついてしまう。イドの流入で何も、感じないということに。これまで感じていた不快感。イドの過剰取り込みで見える極彩色の幻覚。そういったものが、一切ないのだ。


 それどころか、これまでに無いほど、イドの流入がスムーズに感じられる。

 これまでのイドの動きを例えるなら、まるでパイプに無理やり固形物を押し込んでいたようだった。それが今は、イドが液体のようにパイプを通り、スムーズに吸い出されてくる。


 イドが全身に染みわたる。血管に、内蔵に、そして細胞に。


 今ならどんなことでも出来そうだ。完全にイドと一体化した感覚。


 俺はその感覚に導かれるように、カニさんミトンの解放スキル、泡魔法を試してみる。イドが思うがまま動き、うねり、変質し、酸性の泡になる。


 一つ。また一つ。

 次々に産み出される酸性の泡。

 くるくると俺の周りでその泡たちが漂い。


 巨大ピンクキャンサーがしていたように、無数の泡となったそれを周りに浮かせ、展開する。


 左手のカニさんミトンを軽く振るう。

 カニさんミトンの動きに合わせ、無数の泡たちが射出されて行く。狙いは目の前の巨大騎士スライム。


 危機意識はあるのか盾を構える目の前の巨大騎士スライム。

 まず一つ。

 泡が盾にぶつかる。

 弾ける泡。

 泡の着いた盾の部分が、さらさらと崩れ、丸い穴となる。

 巨大騎士スライムは、果たしてそれを見ている暇があったのだろうか、次の瞬間には、俺の産み出した無数の泡たちが、次々に、続々と、巨大騎士スライムの盾に、鎧に、剣に。

 あっという間に巨大騎士スライムが粘体を変質させ作り出した装備品はさらさらと崩れていく。

 そのあとは、装備品がなくなったその体を構成する粘体に、泡が降り注ぐ。

 まるで喰らうかのように泡がその身を削っていく。滑らかだったスライムの体表が、ぼこぼこになり、ついに、泡がすべて着弾し終わる。


 俺は腕をもう一振りし、同じだけの酸性の泡を産み出すと、再び瀕死の巨大騎士スライムに、向けて打ち出す。


 全身泡に覆われる巨大騎士スライム。


 さすがに二度の泡の飽和攻撃には耐えきれなかったのか、泡が弾けた後には、何も残っていなかった。


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