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わらわら、わちゃわちゃ

 動物園の壁を自らの体重で押し倒して現れたぷにっと達。


 その体は、あるものはアスファルトで。

 またあるものは自動車の部品で。

 瓦礫や、建材から生まれた物もいる。


 そう、コンビニ休憩した時に作ったぷにっと達も勿論その中に混じっているが、実は彼らはほぼ伝令として働いてもらったのだ。大部分は、これまでに俺が作り続けてきたぷにっと達に集まってきてもらった。先のネカフェの防衛戦を生き残った、まさに猛者達だ。


 怒濤の勢いで、動物園がぷにっとで、埋められていく。


 如何に生き物を殺していくか。それをすでに自らの体で体感している集団か否か。それは効率の面で如実に現れてくる。


 複数のぷにっとで、敵たる生き物を圧殺しようとしたときに、敵一体に対して必要最小限のぷにっと達で押し潰しにかかれる事。

 そうすることで、単純に、同じ数のぷにっとで、一度に大量の敵に対応出来るだけではない。自重で壊れてしまうぷにっとの数が激減するのだ。


 そしてそれは何かを守る時よりも、今のように攻める時に真価を発揮する。

 なぜなら、個々の敵の息の根を完全に止める必要が無いのだ。ダメージを与えさえすればいい。戦闘不能になる程度の。


 そうして、殺戮を経験済みのぷにっと達が、動物園を、そこに住まう獣達を効率的に蹂躙していく。


 上空へと逃れた俺は、その様子を眼下に見ながら、必死に敵の飛行戦力からの攻撃をかわしていた。


「一度の実戦でっ、ここまでぷにっと達が、成長するのは、嬉しい驚きだなっ」飛行する敵のとめどない攻撃をかわすのに必死ながらも、感嘆の声をあげる。


 空の敵は、まだ生き残っていた鳩もどきに、何故か翼の生えたパンダが数体。そして巨大化した羽虫が大量。

 特に翼パンダが恐ろしい。

 見た目の愛らしさとは裏腹に、その噛みつきも、爪による薙ぎ払いも、一撃必殺の威力を感じさせる。


 地上、俺の足元直下までぷにっと達が押し寄せる。

 俺は今が好機とばかりに地面に向けて、まっ逆さまに急降下する。


 ぐんぐんと迫り来るぷにっとひしめく大地。

 俺を追う敵達を背後に引き連れて。

 地面にぶつかる直前、前方へ急制動。

 うまく俺を避けてくれるぷにっと達。そしてそのまま、俺の背後を飛んできた翼パンダに、巨大羽虫に、鳩もどきに、飛びかかり、大地へとひきづり堕とす。

 俺は、つんのめりそうになりながらも、何とかそのまま地面を走る姿勢に移行。

 その背後では、そこかしこで、ぷにっとに取り付かれたかつて空を駆けていた敵の惨状が。

 高速で地面と接触し、ぷにっともろとも、その速さゆえに大地でその身を削るようにして血を撒き散らし、四肢を欠損していく翼パンダ達。

 巨大化した外骨格型の生物故の脆さで、ぷにっとと一緒にバラバラになる羽虫達。


 俺はいつの間にか、ぷにっと達の集団の先頭に立って、園内をひた走る。背後から追随するぷにっと達からの圧に押されるようにして。

 留まることなど、到底できず。

 ただただ、まっすぐに。


 ──あ、ヤバい。冬蜻蛉がどこにいるか、きけてなかった……

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