表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワタシとコイツの半年間  作者: 荒木空
6/6

その最期


 その最期(とき)が来たことを、ワタシはわかった。


 勿論コイツのだ。そしてワタシのだ。


 ワタシのせいでコイツの命が短くなった事を知ったあれから、ワタシはコイツの為になるよう頑張った。


 コイツは日に日にワタシを抱き締める力が弱くなっていき、もうここ一ヶ月ぐらいは手を上げることも出来なくなっていた。


 それでもコイツは「ウサギさんありがとう」と言って、無理矢理にでもワタシの頭を撫でようとして頑張ってくれた。


 だからワタシも頑張った。


 その頑張りが無理を祟ったらしい。

 ワタシも最期の一週間は動けなくなっていた。


 コイツとワタシの獲物は、コイツの子を名乗る奴や、ワタシに怒鳴って来てた大きい奴が用意してくれて、コイツだけじゃなくワタシにも食べさせてくれた。

 あまり食べられなかったのは、食べさせてくれていたのに、申し訳なくなった。




 そんな日々を過ごして、その最期(とき)が来たのをワタシはわかった。


 もうコイツもワタシも自分の力で動く事は出来ない。


 それでも無理して動こうとすると、脚が痛くなる。

 その痛くなるのも、今は何故だか無い。

 動けない筈の体を必死に動かして、ワタシはコイツの顔の横へと移動した。


 コイツの顔が見える。


 コイツもワタシが近くに来たことがわかったのか、ワタシと目を合わせて笑った。


 そして、コイツももう体は動かない筈なのに、ワタシを撫でてくれた。


 「ウサギさん、この半年間、どうだった?」


 コイツと同じじゃない事がこんなに苦しいのは、これで何度目だろう。


 伝えたい。

 噛んでごめんなさいと。初めて会った頃、素っ気なくしてごめんなさいと。


 伝えたい。

 君との生活が楽しかったと。君との生活が嬉しかったと。君との生活が心地良かったと。


 伝えたい。

 君と出会えて良かったと。



 伝えたい。でもコイツとワタシは違うから伝えられない。それがこの上なく悲しい。


 なのにコイツは笑った。笑ってこう言った。


 「そっか。僕もね、ウサギさんとの半年間、本当に楽しかった。嬉しかった。実はねウサギさん?僕、ウサギさんと会う前は、余命一ヶ月とか言われてたんだよ?


 でも、ウサギさんとの生活が楽しくて、最初言われてたより長く生きられたんだ。


 だからウサギさん、僕と一緒に居てくれてありがとうね。

 僕と出会ってくれてありがとうね。」


 そう言ってコイツは目を瞑って、ワタシの頭を撫でていた手から力が抜けた。


 ワタシのせいで命が短くなったと聞かされた時みたいに、ワタシの見えるものがぼやけた。


 なんでぼやけたかはわからないけど、嬉しくて嬉しくて仕方がないほど満たされたのはわかった。



 ワタシも、君と出会えて本当に良かった。





 ~fin~



あとがき



 『ワタシとコイツの半年間』、読破ありがとうございます。

 作者の荒木空ことATです。


 この作品、『ごめんなさい』の最後辺りから、泣きながら執筆してました。


 こういうのに弱くて、自分の作品なのに泣いてしまうほど、こういう切ないのはクリティカルヒットするのが私です。


 この作品を書こうと思ったのは完全に気分です。

 というのも、これの元になったのが私が見た夢だったりします。


 えぇ、この作品を書く直前まで寝ていて、その時に見た夢の内容がこれだったりします。

 勿論ですが細部は違いますし、夢ではラストまで行ってません。夢では『ごめんなさい』で終わっています。


 そんな、この作品のような夢を見て思ったのです。



 この夢を覚えている間に、形に残したいと。



 その結果生まれたのがこの作品です。

 完全に自己満足で、自分の夢の内容に、自分の作品の内容に泣いちゃうような痛い私ではありますが、残したいと思ったものは残していく、それが私が作品を書く力の源ですので、そこは生暖かい目で見過ごしていただければ幸いです。


 公開はしていませんが、この作品以外にもホラーやファンタジー、恋愛ものなど、私の夢が元ネタの作品をいくつかあります。

 そちらも形に出来次第公開していこうと思いますので、公開いたしましたら、是非読んでいただければ幸いです。




 では読者の皆様、またお会いしましょう。BYE-BYE



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ