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ワタシとコイツの半年間  作者: 荒木空
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それから


コイツと出会って空が穴の中みたいになるのが何度もあった。


 たまにコイツが、「ウサギさんと出会って、今日で一週間だね」とか、「ウサギさん、今日で僕たちが出会ってから一ヶ月だね」と話し掛けて来たから、コイツらだけがわかる時の事だということはわかった。



 コイツの言う"一ヶ月"の間、コイツはことある毎にワタシに触ろうとしてくる。ハッキリ言って迷惑だ。


 ただ、コイツはどうやら、他の大きい奴らとは違ってワタシを殺すつもりは無いらしい。


 いつもワタシに触ろうとしては、ワタシは手や牙で触ろうとしてくる手を攻撃したが、コイツは痛そうな顔をするものの、笑って「もう、痛いな。噛んじゃ駄目だよウサギさん」と言ってくる。


 ワタシは何故かそれが、どうしようもなく心地良かった。


 それからワタシは、コイツがワタシに触ろうとしてくる度に噛んでやった。




 コイツとの生活は日を追う毎に、ワタシにとってとても大切な物になっていった。


 コイツと出会った頃は、コイツの住み処から逃げ出して帰ろうとしたが、その度にコイツは「ご飯の用意をしてやれなくてごめんね。ご飯を食べたらまた戻って来てくれると嬉しいな」とか言う。


 勿論最初の頃は、ワタシも何を言っているんだと思ったが、ワタシが帰らない度に大きい奴らがワタシを捜して、ワタシをコイツの所まで運んで来たから、途中から獲物を捜す為にコイツの住み処から出るようになった。



 ある日、コイツが「ウサギさんと出会って、今日で三ヶ月目だね」と言ったあと、苦しそうにゴホゴホ言い始めた。


 ワタシ心配になり、コイツの体にワタシの体を擦り寄せた。


 コイツは苦しそうに「心配してくれてるの?ありがとう。大丈夫だからね」とか言うが、大丈夫じゃないのは十分わかった。


 だからワタシは、コイツの手を噛んだり、舐めたりして、ちょっとでも苦しそうなのがマシになるように頑張った。



 そのあと、コイツは一杯の大きい奴らに何処かへ連れていかれた。

 大きい奴らの内の1つが、「おいウサギ!大人しくしとけよ!」と怒鳴って来た。


 腹立たしい。それにアイツが心配だ。


 でも、確かに此処で待っていればアイツが帰って来る筈なのは確実だった。



 それからワタシは、落ち着かない日々を過ごした。



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