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ワタシとコイツの半年間  作者: 荒木空
2/6

コイツ


 ワタシは山に住むウサギ。名前は無い。


 いつものように、獲物を捜していると、その日はいつもと違うことが起きた。


 ワタシが山を駆け獲物を捜していると、大きい奴らが一杯来た。


 いつもはワタシを見逃す癖に、今回はワタシを捕まえるつもりらしい。


 ワタシとよく似た奴らがこの大きい奴らに連れられて行ったあと、連れられて行った奴らをそのあと見た事はなかった。

 どうやらワタシの番が回ってきたらしい。


 当然だがワタシは必死に捕まらないように逃げ回った。

 獲物の1つである草を掻き分け、ねぐらの内の1つである穴に逃げ込み、大きい奴らより大きい木とかいうのを使って、必死に逃げ回った。


 でも、ワタシのそんな抵抗は意味がないかのように、大きい奴らはワタシの体を掴んで、耳だけ握ってワタシを宙ぶらりんにした。


 痛い。ワタシの体を支える耳元が痛い。



 ワタシはワタシの体に揺られて痛みを覚えながら、大きい奴らに連れられて何処かへ連れていかれた。



 連れていかれた先に居たのは、ワタシを捕まえた大きい奴らの仲間の所だった。どうやらワタシは、この大きい奴に食われる為に連れて来られたらしい。


 ワタシは自分の最期を自覚した。



 しかし、不思議な事が起こった。

 大きい奴らはワタシを食べるどころか、ワタシを目の前のコイツの横に置くと、また何処かへと行った。


 訳がわからない。


 ワタシの身に何が起きたのかわからず戸惑っていると、コイツはワタシに話し掛けて来た。



 「ウサギさん、触っても良いかい?」



 一瞬、"ウサギさん"とはなんなのかわからなかった。


 しかし、ワタシがコイツと同じ大きい奴らから"ウサギ"と呼ばれていた事を思い出した。


 そして周りを見てみると、コイツの他に生きているのはワタシしか居ない事がわかった。


 どうやら"ウサギさん"とはワタシの事らしい。


 ワタシは触れられるのがあまり好きではない。だから同族の雄にも触らせた事はない。


 しかし此処でコイツに逆らえば、食われるかもしれない。


 ワタシはコイツの頭の横に移動して、ワタシと触れていられる状態にしてやった。


 手を伸ばして触ろうとしてきたが、それは手で抑えた。



 これがワタシとコイツの出会いだった。



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