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1 侯爵令嬢目覚める

目覚めたらベッドの上だった...。


あれ?

ここどこ?


......。

よし、落ち着こう。

ひっひっふー。ひっひっふー。

うん。

状況整理をしよう、そうしよう。


私の名前はルーナ・フィッツロイ。ピッチピチの16歳だ。

オールナイト王国の侯爵令嬢......いや、元侯爵令嬢だ。そう、元だ。

この世界は私が前世、興奮しながらプレイした、〘 あなたの瞳に囚われて〜〙という乙女ゲームの世界にとても似ている。そのゲームは、絵がとても美しいし、シナリオも、面白かった。声優さんも最高ですた...。

攻略対象は7人。魔法の使えるファンタジーの世界。ちなみに攻略対象の7人中4人はヤンデレだ。

そんな乙女ゲームの中の私の役割は、王太子に婚約破棄されたあとに適当な子息をあてがわれる可哀想なご令嬢なはずだ。そう、捨てられ侯爵令嬢が私の役割。悪役令嬢ではなく捨てられ侯爵令嬢。

そうなのだ、捨てられた後はおうちに帰って新しい結婚相手をあてがわれるまで大人しくしてれば問題ないと思っていたけど...。

本当、ここどこですか?私の部屋より広い寝室。

てゆうか、ベッドでかっっ!こんなに大きい必要ないだろって、叫びたくなるほどでかい。

いや、落ち着け私。ひっひっふー。

そう、この侯爵令嬢生活で培った価値観を総動員するのよ!

目を閉じて私のそう、ルーナの部屋をイメージそして、目を開けて見ればそうでも無いはず。

ぐっと閉じてハッと開けてみる。

...............。

いや、想像が足りなかっただけだ。もう、1回、そうもう1回チャレンジするのよ!

ぐっと、...ぱっ。

.........でかいわー。うん。大きいわー。何人寝るのよこのベッド。てゆうか、ふっかふかね。シーツの手触りもとても気持ちいい。

座ったまま、弾んでみると思いの外楽しくて10分くらい、ふっかふかを楽しんで我に返った。

はっ。何やってるのかしら私。見た目は10代の小娘でも、中身は40いきかけてるババアなのだからここは大人な行動を心がけなくては。

そう、まずはベッドから降りよう。

と思ってふと自分の身体に目がいった。意識のあった最後にきていたドレスのままだ、多分、日は経っていないのだろう。

とりあえずベッドの上から降りようとして

ゴンっっ

頭をぶつけた...

えっ、痛っっ。えっなに?!と思いベッドのふちまで手をやると見てない壁があった。

まじかー。これに阻まれたのか思いぺたぺたとベッドの端を沿って通れる場所はないかと探してみる。

無いわ。これは、あれね。閉じ込められたわ。

防御壁かしら。これ?

なら、解除の魔法を、と思い。身体の中で魔力を練ろうとしたが魔力が全く感じられない。

魔力!私の魔力。私の中の魔力ー!!

出ておいでぇ!

怖くないから!!

お願い出てきてええええ!!!


3分後


はぁーっはぁーっ。まじか、出てこない。

............あれ?もしかして、今の状況、考えていたよりまずい?


とりあえず、最初にいたベッドの真ん中まで戻ってみた。

ふざけないできちんと思い出そう。

深呼吸。

すぅー、はぁー。

うん。

そう、確かに婚約破棄されたわ。

破棄された時はシナリオ通りだった。そう破棄された時までは


......あれは、きちんとした、婚約破棄だった。王太子が突っ走て破棄したわけでも無く。陛下にも認められた。正式な婚約破棄。


私、ルーカス・オールナイトは、ルーナ・フィッツロイ侯爵令嬢との婚約を破棄する。

と短くまとめたらこんな感じのことを王太子殿下に告げられた。思わずその場にいたお父様に目を向けたが頷かれてサインしろと、促された。訳の分からないまま紙にサインをした。


で、


破棄が成立したわけで、問題はその後だ。


「そして、ここでルーナ・フィッツロイの罪状を読み上げる」


はっ?

そうだ。訳の分からない罪状。全て身に覚えがない免罪を言い渡され。貴族籍を剥奪。挙句に魔力封じまでされて、庶民として暮らすように言い渡された。


.........

あぁー、そうだった。そうだった。

だから、魔力使えないのか。魔法使えないとか不便だなー。

アハハ。

アハハハハハハ......


...はは。思わず自嘲めいた笑いが零れた。

婚約者に捨てられ、家族にも見捨てられ......。


涙が滲み出てきたが、今は泣いてる場合では無いのだ。解決方法を考えねば。頬を叩き自分を叱咤した。


そう、ここはどこなのだろう。気絶している間にどこかに捨てられ、金持ちのおじさんにでも拾われたのだろうか...?

それは、まずい。

でも、魔法も使えず逃げられない。


......詰んでる。私の人生詰んでる!!



ベッドの中心で体育座りで茫然として何もない宙を見つめていたら今さっき頑張って抑えていた涙がこぼれてきた。どう考えてもここから逃げられないと、自覚して、今更ながら自分は捨てられたのだと実感した...。


「ふぅーっ、ぅっ、......うー。」

スンと鼻をすすって零れていた涙をゴシゴシと擦る。

擦っても擦っても涙が溢れて止まらなかった。


「っうぅっ、ふぅー、っぅあ、、うぅっ」

悪いことなんて隠れてお菓子を食べるくらいしかしなかったし、お妃修行だって真面目にやって、頑張ってきたのに、、好きになった人に婚約破棄されるって分かってても、文句は言わずに頑張ったのに。好きな人にも、親にも捨てられて......。


「もうっ、ぅぅう、はっ死に、...たい。」

涙はぽろぽろ零れ落ちる。

「ぅう、誰か、ふぅ、。助け、て......、ルーカスさま… 」

あとからあとから出てくる涙。

擦るのもやめて私は体育座りのまま膝の上にあった腕に目を押し付けて、小さく、私を捨てた、私の好きな人の名前をはじめて、呼んだ。






ガチャリ








お読み下さりありがとうございました。

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