表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/161

第79話

「あれほど強くても」

「強くないけど、僕は自分の心身を鍛えるための武術なので、試合はしません」

「そうだったの」

その時、堤防の上から、二人を揶揄するような声がした。

二人が振り向くと、祐二の車の横で見るからに悪そうな若者が三人、祐二と彩世を見下ろしてた。

祐二が彩世に関わるなと目で合図したので、彩世は聞こえないふりをした。

「なんとか返事をしろ」

三人が恐い顔をする。

それでも祐二が無視していると、我慢ならなくなった一人が、

「なめるな!」

と、叫ぶやいなや、堤防を駆け下り、祐二に殴りかかった。

祐二は相手の攻撃を避けず、相手の身体に手が触れた瞬間、男の身体は下の草の上に投げられていた。

「まだ、闘うか?警察に通報するぞ」

佑二が興奮もせずに云った。その落ち着きと底知れぬ強さを見せ付けられた男達たちは、先を競って逃げ出した。

「恐かったわ」

彩世が身を震わす。

「やっぱり、この場所へ来てはいけないね」

「はい、何時の間にか恐さを忘れてました」

彩世は祐二に逢いたい一心から恐れを忘れていたのだ。

その時、祐二の携帯電話が鳴った。

「はい、樫山、......そうか分かった」

と云って電話を切った。

「急用ですか?」

彩世が心配そうに尋ねた。

「友人が、会いたいと云っているんだ」

「すぐ行ってあげてください」

と彩世が気を効かした。

「彩世さんを残して帰れません。まだ、少し時間があるから、僕の車でドライブしませんか。と、云っても、桂川の周辺を少々ですが」

「ぜひ、お願いします」

祐二は、彩世の手を取ると、車に乗せ、すぐ発車させた。

(この暖かい手は、河原で握手した手、いえ、今、思い出したわ、この手は、助けてくれた時の手だわ)



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ