第17話
「僕が誤解を受けるようなことをしたのです」
「どんな誤解を?」
祐二が真相を話すか迷っていると。
「訳を話してくれますか」
と興味津々で尋ねてくる。
佐藤の態度が、何となく興味本位に写ったため、話すことをためらったが、よく考えてみると、誤解をはらす絶好の機会だと気付き、
「聞いてくれますか」
祐二は一部始終を話した。
「そうですか。善いことをしていても悪いことをしているように見られる。嫌な世の中になりましたね」と佐藤が同情してくれた。
「はい、誰にも誤解を話すことが出来ず、心が重かったんです。けれど、貴方に聞いていただいて、心が晴れました。感謝します」
「それは良かった。ところで、その様子から、出張ですか?」
「いえ、帰省です」
「どちらへ?」
「島根県です」
「出雲大社が有名ですね」
「はい」
「所で帰省する乗り物は?」
佐藤は話好きなのか、次々と質問する。
「電車です」
「じゃあ、二条駅かあら余部鉄橋を渡る山陰本線ですね」
「いえ、新幹線を利用しようと思っています」
「ということは、二条駅から京都駅へ行くんですか。じゃあ、私は所用で京都駅近くへ行くので送りますよ」
との申し出に対して、祐二は母親に、バス以外の車には絶対に乗らないでと云われていたので、一度は断ろうとしたが、場合によっては、ストーカー冤罪を晴らしてくれるかもしれない大切な証人の好意を断るのも失礼と考え、乗る事にした。
「お願いします」
「島根県まで電車では時間がかかるでしょうね」
「はい、三時間はかかります」
すると岡本が話し始めた。
「私は何時も思っているんですよ。もし、京都に飛行場があったら便利だろうとね。そして、今より観光客が何倍も増えるだろうと」