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第156部

「会ってどうするの?」

「僕はそこで妻にはっきり伝えるよ」

めぐみは、期待して尋ねる。

「奥さんと離婚するの?」

「そうだ、君と結婚するとね」

「本当に?」

「嘘は言わないよ」

「嬉しい」

めぐみの目から涙が流れ出した。

「じゃあ、会ってくれるんだね」

「はい」

「じゃあ、君の大切な場所である、日本海に美しい夕日が沈むところがみられる小さな展望台で待っていてくれないか」

 しかし、美しい夕日が沈む景色を独り占めに出来る展望台は誰にも見せたくない。

 まして、今回のような争いの為に使う場所に相応しくないとの思いが強く働き、めぐみは、他の場所を指定した。

「分かった。じゃあ、待ち合わせ時間は午後七時でいいね」

「ええ」

「じゃあ、待っているから、間違いなく来るんだよ」

「ええ」

携帯電話をバックにいれながら、めぐみは、待ちに待った時がやっと来たと、嬉しそうに呟いた。

「今日で不倫は終わり、明日からは私は彼のもの」

めぐみは呟いたものの、間もなく始まる修羅場を考えると不安でたまらない。

(何事もなく終わるのだろうか?)

待ち合わせの時間まで一時間以上ある。レストランへは先に行きたくないため、時間つぶしを兼ねたドライブをすることにした。

(そうだわ。私の大好きな展望台へ行き、夕日に私の幸せを報告するわ)

思いついためぐみは、車を県道二十九号線に乗り入れ、日御岬に向かって走る。そのめぐみの顔に夕日が射した。

車は断崖絶壁に作られた曲がりくねった道から、日本海を左側に見て走る。断崖絶壁下には大小。様々な形態をした磯が、カーブを曲がるたびに現れる。その磯や海岸は、今は穏やかだが、冬になると、荒々しく景色を一変させる。

夏休みの間中、この道路は、海水浴や 日御岬灯台見物の車が多く通っていたが、夏休みが終わった今、夕暮れも重なり、めぐみの車に続く車もなく、また、対向車には一度も出会っていなかった。

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