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第147部

母親が悲しそうに云った。

父親が、祐二の話題を禁句にしたのは、祐二に慎吾探しを中止するように云ったらその日から彩世との連絡を断ったことを、彩世の母親が闘病中に彩世から聞かされた。

そこで、父親は、祐二が彩世を助けていたのは、彩世への愛でなく、悲しみから救うために、優しくしていたのだと解釈し、彩世の心から祐二を消すために取った処置だった。

禁句だった祐二の名を父親から云われ、彩世は気持ちが楽になって話した。

「祐二さんにお逢いしたい、そして、お詫びがしたい、でもお逢いできないから、苦しくてならないの」

彩世は泣き出した。

「じゃあ、慎吾くんとの婚約を破棄し、祐二くんを待つか」

「今更、約束を破れないわ」

すると、母親が、

「じゃあ、どうしたら、その苦しみから抜け出ることができるの」

と尋ねる。

彩世は何も思いつかない。

「私は、祐二くんを探し出し、お礼とお詫びをしたいと考えていた。どうだ、彩世も一緒に行こう、そして、祐二くんに逢った上で、今後の進路を決めるのが良いと思うよ」

父親が云うと彩世が、

「でも、祐二さんが許してくださるかしら」

 彩世が哀しげに云った。

 そんな彩世を、母親は叱る。

「馬鹿な彩世、許してくれるかの問題ではないのよ。ちゃんと、お礼とお詫びをするのが人間の道なのよ。許してくれなかったら、何度でも謝ればいいわ」

「母さんの云うとおりだよ」

父親が同調する。

「有難う、父さん母さん」

彩世の顔が明るくなった。

「そうと決まったら、明日、祐二君を捜しに行こう」

「行くって、何処へ?」

「祐二君の実家だよ」

「じゃあ、島根県の」

「そうだよ、ご両親なら祐二君の居所を教えてくれるからね」

「島根県と簡単にいっても、広いでしょう。一日や二日で捜せるの?」

彩世が不安そうに尋ねた。

「電話帳に載っている樫山さんを、一軒一軒、訪問すれば、必ず、探し出せるよ」

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