表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
123/161

123

「そんな大袈裟に云わないでください。ユリと河原とカワラナデシコの花は私ののも支えなんです」

「そうでしたね」

「もしかしたら。優しいユリが、私と祐二さんを引き合せてわせてくれたんだわ」

と顔を赤らめて云った。

慎吾との婚約を解消するつもりの彩世は慎吾を省いた。もし、慎吾に出会わなかったら、今の言葉で、祐二は、即座に、愛を告白しただろうが、今は苦痛だ。

「河原へ行きます?」

彩世が聞いた。

「行きたいが止そう。何故なら、高梁川の上流の新見市では、豪雨が降っていたから、もしかすると、洪水が発生して、河原が水没するかもしれないのです」

「じゃあ、どこえ行きましょう?」

彩世は恋人に甘えるような口調で尋ねる。

だが、慎吾に出会った祐二は、彩世とこれ以上親しくしてはいけないと思い。

「以前に見物できなかった高梁市の名所旧跡巡りをしたいですね」

名所巡りをしている間。祐二は彩世との関係を他人に見られても、恋人関係と見れないようにしていたので、彩世には急に佑二が変わったように感じた。

「私はまた病気になったのかしら?」

彩世は不安げに祐二を見る。

「病気、どうして?」

「だって、急に祐二さんが遠くへ行ってしまったような気がしてならないの」

彩世を不安にさせてのは、自分にあると気付いた祐二は、

「そうだ、展望台へ行って、町をみましょう、きっと、気分が晴れる筈です」

祐二と彩世にとって、ループ橋の展望台は、二人だけの世界になれる唯一つの場所であり、今回は、祐二が彩世と慎吾の婚約解消を奨め、彩世は、婚約を解消したいと、祐二に告げる場所となり、同時に、互いに愛を告白する場所でもあった。

だが、慎吾が現れたために、祐二には、別れの場所となってしまったのだ。

ループ橋の展望台に来た佑二は哀しみを隠し、展望台から景色を眺めていると彩世が、

「祐二さんは、この展望台がお好きなのね」

「大好きです。高梁川とこの町、そして、この展望台は僕の愛哀の故郷でしたからね」

聞いた彩世の顔が曇った。

「愛の故郷でした、と云っていたたけど、でしたは過去形でしょう、それは、もう、この展望台へは来ないとの意味ですか」

佑二を愛さない者なら、佑二の言葉を聞き流しただろう、だが、佑二を愛し、信じきっている彩世には、聞き流せない言葉だったのだ。否、愛されているとの確証がないため、何でも無い言葉でも敏感に反応する、それが愛なのだ。

「ごめん。いい間違いです」

祐二は、苦しい云い訳をした。

「もう、哀しいことは云わないでね」

彩世の目には哀しみの涙があった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ