表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
107/161

第107話

(彩世さん、僕は貴女に結婚を申し込みます)


 八月二日の朝。

「さあ、お伽の国へ行こう」

祐二は、一年前に云った言葉と同じことを云ってからマンションを出た。

やがて、祐二が、京都駅に着くと

「樫山くん」

聞き覚えがある上司の声が聞こえた。

「お早う御座います」

振り向いた祐二は、上司に挨拶した。

「帰省かね」

分かっているくせにと思いながら、

「はい」

と余裕をもって答えた。

「乗車券買ったかね」

「はい」

祐二は、昨年と同じ愚を犯さないよう、前日に購入していた座席指定券を見せた。

上司は、落胆を隠しながら云った。

「コーヒーを飲む時間ぐらいないかね」

「十分くらいなら付き合えます」

「そうか、じゃあ、十分だけ頼むよ」

祐二が予想したとおり、祐二にゴルフの自慢が終わると、もう、用無しとばかりに、急いで東京方面行きのプラットホームへ行った。

祐二は、予定どおり、博多行き、のぞみに乗った。

岡山駅に着いた祐二は、早速、彩世に電話した。

「写生しているの?」

「はい」

「今、岡山駅に着いたので、連絡しました。でも、写生の邪魔をして悪かったね」

「いいのよ、今も、風が吹いているので、写生を中止していたのよ」

「じゃあ、僕は河原へ歩いて行きますから、ゆっくり写生してください」

祐二は新幹線の岡山駅を出ると、伯備線のプラットホームへ行き、やくも号が到着するのを待っていた。

すると、数人の怒鳴り声がしたかと思うと、どたばた駆け回る足音が聞こえて来た。

「スリだ、集団スリだ。捕まえろ」

私服の警官らしき人が、線路内を逃げ回るスリ集団を追い掛けていた。

やがて、スリ集団は伯備線のプラットホームへ駆け上がり、その中の二人が祐二の方へ向かって来た。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ