表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
105/161

第105話

「彩世です」

平日の昼間は、互いの事情を考慮して、よほどのことが無い限り電話をしないという暗黙の習慣が二人の間で出来上がっていたので、慎吾の居場所が分かったのだと思い、幸福感が一気に吹き飛んだ。

「慎吾くんの情報があったんですね」

祐二の早合点に驚いた彩世が急いで否定した。

「違うんです」

「早合点でしたか」

祐二の顔が安堵に変わる。

「急に電話をして、ご迷惑をかけました。御免なさい」

「少しも迷惑だと思っていません。所で、用は何ですか?」

「わたし、今日から実家へ帰ります。帰る前に一目お逢いしたいと思ったの」

「僕も逢いたいから、時間と場所を教えて下さい」

「今」

「えー、じゃあ、社の近くへ来ているんですか?」

祐二が驚く。

「ええ、前に居ます」

「すぐ行きますが、足は大丈夫ですか?」

祐二が社を飛び出して行くと、彩世は、暑い日差しを避けるように、街路樹の日陰の中に立っていた。

「よく来られました。来るのに迷いませんでしたか?」

祐二が驚きの声で尋ねた。

「はい、何度も通った道ですから」

「ええ?何度もですか」

「はい、だって、この道は高校のお友達の家へ行く道なんですもの」

「それなら、一度くらいは逢っていても不思議ではないね。そうだ、顔を合わせていても互いに気付かなかったんだ」

(違うは、私が気付かない筈がないもの)

強く否定したい彩世だったが、自分の愛を告白するように思えて云えなかった。

「コーヒーでも飲みましょう」

 祐二は近くの喫茶店を指差した。

二人は店内へ入った。

「忙しい所をごめんなさい」

彩世は席に着くなり謝った。

「謝らなくていいよ。僕も彩世さんに話したいことがあったんだから」

「話て何かしら?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ