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第103話

「わかりました。そうだ、足が治るまで、僕が彩世さんの手足になります」

「そんな事までして頂いては、祐二さんの自由な時間がなくなるわ」

「もう、決めたから断っても駄目です」

「有り難くお受けします」

祐二が彩世に提案した。

「そうだ、来週の土日、映画鑑賞かドライブに出掛けませんか?」

当分の間、彩世は身体を動かせないため、自然と内向きの思考に陥り、病気が再発する恐があると思っので

祐二は彩世の気分を晴らそうと考えたのだ。

「行きたいです。ぜひ、連れて行ってください」

彩世は痛みを忘れ、嬉しそうに言った。

「僕は考えるのが苦手なので、映画やドライブの計画は、彩世さんが立てて下さいよ」

「はい、喜んで」

数日後から、祐二は彩世が計画した通り、映画、ドライブや、出場できないフィギュアスケートなどを観戦に行った。

また、彩世は、山や海へ行くのが好きだったので、祐二の足手纏いになると思いながらも、行く計画を立てた。

 確かに、山や海は、松葉杖を使って歩けるほど平坦でないために、祐二が彩世を背負ったり、肩を貸したりして、文字道理、彩世の手足になっていた。

だが、祐二にとって、この時が、今日までの人生の中で一番、幸せだった。

彩世も、祐二の献身的な手助けに、この上ない程の幸福感に包まれ、慎吾のことも忘れがちになっていた。

 だが、幸せすぎるために何時か破られる(慎吾が現れる)時がくるのではないかと思うと、恐くなる彩世だった。

祐二は、苦悩する彩世の顔をみるたびに、早く慎吾を見付なければと思いながら、慎吾に婚約者としての役目を示せと叫びたくなる。

彩世と婚約してから、やがて一年経つと言うのに、慎吾から何の連絡もない。この仕打ちは、慎吾が彩世に、無言の婚約解消を告げたに等しいのだ。

彩世が、こんな先が見えない状態が何時までも続いていたら、やがて、彩世の精神が壊れてしまうだろう。

祐二は、彩世を、そんな悲しい女性にしたくないため、今度、彩世に逢った時、慎吾との婚約を維持したいのか問いただそうと考えた。

その日は、彩世が慎吾と初めて会った八月二日。

もし、彩世が躊躇なく、破棄したいと答えたら、祐二は彩世に、愛を告白すると決心した。例え、その告白が、彩世と永遠の別れになる原因になろうとも。

彩世は祐二の決心を持っている。例え、天地がひっくり返っても、彩世は祐二の愛を絶対に拒否しない。祐二の長く苦しかった彩世への愛哀は、哀しみが消え、幸せな日々が続くだろう。

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