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第10話

祖母も食べる。

少女が祖母に可愛い声で、

「おばあちゃん、昨夜、聞けなかったお伽話をきかせて」

「お伽話?」

祖母は、頬に手をやり考え込んでいたが、思いだせないらしく、少女に尋ねた。

「えーと、どんなお伽噺だったかね?」

少女は、もう忘れたのというような顔をして、

「タカハシ川のお伽話よ」

(たかはし川?)

佑二は何処にでもあるような川の名を聞いたはずなのに、なぜか知らないが、祐二の心に美しく響いた。

「そうだったわね。ごめんね、忙しかったから、すっかり忘れたわ」

祖母が謝る。

すると、少女が尋ねる。

「その川は、鴨川より大きい?」

祖母は両手を大きく広げて答える。

「大きくて、とても奇麗だったわ」

「ほんと」

黒い瞳が全部みえるぐらい目を開けた少女は感心していたが、また、尋ねた。

「その川は、どこにあるの?」

祖母は、遥か遠くを見るように、

「岡山県よ」

と、答えた。

県名を聞いた祐二は、

(あの高梁川だ)

内心で納得したのと同時に、暗い処へ閉じこめていたものが急に明るい世界へ飛びだしてきたように、一人の女性と、その周りで楽しげに遊ぶ子供たちの姿が浮かんできた。

少女が、また、尋ねる。

「岡山県て、京都から遠いの?」

子供は知識欲の固まりだ。この少女も初めて見聞きするもの全てに興味を持つ。

「遠いわ、でも、おばあちゃんには、正確な距離を知らないけど、新幹線に乗ると、約一時間半くらいの所にあるわ」

「ふう」

少女は、分からないらしく、ふう、と云って、また、アイスクリームをたべる。

高梁川は、岡山県と鳥取県の県境、中国山地に源を発し、新見市、高梁市、総社市、倉敷市から瀬戸内海へ流れ出る岡山県の代表的な川である。

少女が急に思いついたのか、

「わたし、その川へ行きたい。どうすれば行けるの?」



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