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第1話 家路雲

八月一日

美しい夕焼けが京都の空と地上をバラ色に染めていた。

JR山陰線京都二条駅より歩いて十分ほど先のマンションから一人の青年が出てきた。青年は急ぎ足で、夕焼けに照らされた駐車場へ向かう。

駐車場には、十数台の車が駐車されていた。その中にブルーのカバーを掛けられた車が一台あり、青年はその車に歩み寄ると慎重にカバーを取り外した。カバーの下から現れた車は、購入して間もない新車なのか、黒光りする車体には傷は 無論のこと一点の汚れもない。

青年は、車体に傷が付かないように細心の注意をはらいながら、車体を拭いていると、鏡のような車体に、長めの黒い髪をライトブルーのヘヤーバンドで留めた女性のぼやけた顔が写った。否、写ったよう見えたは錯覚で、実際は脳裏に写ったのだ。

(最近、何度か顔のぼやけた女性の顔が現れるが、この女性は何者、そうだ、そんな無駄なことを考えるな、諸事、全てを無視で貫け)と我が心を戒める。

一度、止めた手で作業を開始する青年の端正な横顔に微かな夕日が射し、頬をピンク色に染めた。

突然、携帯電話が鳴る。作業している青年の手が一瞬とまったが、片手で車体を拭きながら、もう一方の手で携帯電話をポケットから取り出し、

「はい、樫山です」

青年は高揚した声で答えた。

「元気そうね、佑二」

「なんだ、お母さんか」

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