【超短編】別れの作法
男女が別れるときの作法とは……。たまにはモテない童貞小説やブス小説ではないものをと思って、経験もないのにこんなものを書いてみました。
女は男を待っていた。約束の時間を過ぎても、男は来なかった。
女はコーヒーをお代わりし、電話をかけた。しかし男は出なかった。
女が三杯目のコーヒーを注文したとき、男からメールが届いた。
「ごめん、僕たち、もう会わない方がいいと思う。さようなら」
やっぱり、と女は思った。
女はゆっくりと三杯目のコーヒーを飲み干すと、店を出た。
女は別の店に入っていった。そこでは別の男が待っていた。
「あいつと無事に別れることができたかい?」
「ええ、やっと向こうから別れると言ってきたわ。しかもメールで。
もう私の方から別れ話を切り出そうと思って呼び出したんだけど、
来なかったわ。ほんと、気の弱い男よね。でも手間が省けたわ」
「おれの方も、やっと彼女から別れると言ってきたよ」
「よかった。これで私たち、もう何の気兼ねもなく付き合えるわね」
二人は満足そうに微笑んだ。
相手を傷つけないように別れるのは難しいこと(らしい)ですね。フラれるよりフルほうがつらいとも言われます。といっても、私自身はそういうシチュエーションになったことがないので、わかりませんが……