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蝶と時間軸の針  作者: 朝月 神無
7/8

大嫌い

   次の日。

いや。午前二時頃の真夜中だ。

ふと、外を見ると月夜が手招きをする。

『はやく戻ってこい』と。

つまり、早く空を殺してさっさと帰って来いと、急かしているのだ。

 死神達に目を付けられた。もう、これ以上ここには居られない。けれど他の死神に殺されるくらいなら、最後くらいは私が空を。

私が今夜、空を殺そう――――――。

 蝶々は死神の鎌を出して、空のもとへ歩いて行った。

いつもどうり殺せばいいのよ。

そう自分に言い聞かせながら。

空が眠る部屋の前まで行き、そっと

扉を開いた。

 そこには空が苦しみながら倒れこんでいた。

いや空が、もう死んでいると言ってもいいほどに脈が弱まっている状態で。

「空っっ!!!」

必死になって呼びかけ続けていた。

何故こんなに必死になるか、そんな事考えなくても分かりきっていた。

 少したって

「蝶 々…。」

微かにだが、返事をしてくれた。

だが、安心はしていられない。

「蝶々…聞 いて くれない か?」

「今喋ってはダメよ!?」

震える手が私のほおを撫で下ろす。

彼はこう言った。

「蝶々。す 好きだ 好き…。」

この言葉を言い放つと、空は静かに

目を閉じた。

もう何度も何度も声をかけても、

 彼は目を覚まさない。

助けたい人は私の目の前にいるというのに。

死んでいく様を見ていろと言う月夜は

私のそんな姿を見て、嗤う。

 私の瞳から涙がこぼれ落ちた。

この世に神はいないと確信していた、

 その時だ。

蝶々は泣きながら、

何もかも捨てる覚悟で歌い出した。

綺麗な声なのにやっぱりどことなく悲しげな歌声を空に聞かせ続けた。

 『お願い。気づいて』

そう叫びながらの私の最後になる

言葉。

「あなたなんて大嫌いよ。」

          『空』

精一杯ついた自分への

 嘘。

 蝶々は静かに宇宙を舞って消えた。

むせ返る程の残り香だけを思い出の中にただ酔わせ続けて。


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