魔女=死神+ほうき
「蝶々か…。」
「綺麗な名だな。」
「えぇ。そうでしょう?」
「私の自慢の名前なのよ。」
よろしくと手を伸ばす少年の笑顔は、もうすぐ死ぬ人には見え無くて。
でも、その笑顔の裏側に見え隠れをする虚しさは私にとってとても、悲しい事なんだ。
ああ。そんな無理やり作った笑顔を私に向けないでよ。
あなたの、何偽りない本当の笑顔が私は見たいわ。
蝶々は少し考えて、それからニヤッと微笑した。
「ねぇ、空?あなたは自分を、観てみたいと思わない?」
ふふふ。私の質問に驚いたでしょうが、あなたには拒否権なんて有りはしないわ。
私があなたに本当の空を魅せてあげるから、覚悟してね?
「じゃあ、さっそくだけど始めましょうか。」
蝶々は何か聞いたこともない言葉を呟いていた。
その声は惚れ惚れするほどとても綺麗なのに、その何倍も大きく伝わってくるのは
哀しさ?
「準備が出来たわよ!」
蝶々の声にはっとした空は辺りをきょろきょろと見回した。
そして真剣な顔でこう言った。
「ほうきを持って来る。待っていろ」
蝶々は少し考えてから、笑い出した。
もしかして…。
「ねぇ。空!もしかして、ほうきで空を飛ぶと思っているの?
ふふふ!魔女じゃあ、あるまいっ!」
キョトンとしていた空の顔がしだいに真っ赤になっていった。
空は蝶々のことを魔女のようなものと勘違いしていたらしい。
その日。
結局空は飛ばずに、空の勘違いについて、二人は笑い合った。
空の命が今こうしている間も、短くなっていく事も忘れるぐらいに。




