揺れる想い
ふよふよと空に浮き、自然とあの場所へと向かっていく。月雲の少年が住まうあの場所へ―――。
気がつくと、少年の家の前に着いていた。足を地面に立たせるとまた目の前の古びた扉を開けるために私は重く、鈍い、悲鳴を出させる。
何か視線を感じて、ふと家を見てみると縁側に少年がいた。さぁっとふく風に少年の黒い髪が流されている。
私は少年にやや早足で駆け寄ってゆく。
そして、私は一つ質問をした。
「あなたって何かの病にかかっているの?」
私が見えているということは、心の蔵が悪いのかしら?
「ん?あー。一種のガンだそうだ。」
力なく、くしゃっと笑うその姿に
なんだか切なさを感じた。
いつか本当に笑わせてあげたい。
そう思いながら。
「そう、それは可哀想ね。だけど私は死神。あなたが死ぬその時まで一緒にいるわ。」
さぁて、これからも毎日じわじわと呪い続けましょうかね。
蝶々はふふっと笑う。
まるで、自分が優位に立てて嬉しいと足掻く子供かのように。
「絶対に駄目だ!」
ハタリと戸惑い、それと同時に空気がシンと静まり返った。
「だっ、だって!恥ずかしいじゃぁないか…。」
ブツブツと一人、言葉を吐き続けている。
ほほを真っ赤にしながら、もぞもぞと言う姿に、胸の鼓動が心なしか早く脈打っている様に思えた。
『これが母性というものかしら?』
そう考えつつも、蝶々によぎる言葉は月雲家の者を、許したくはない。
それだけだった。




