表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/760

31.ぐうたら生活

 ツボガメとの死闘から三日が経った。


 俺は乾燥させたピペリスをすり潰したり、干し肉の味見をしたり、ヒトクイ花を滅ぼしたりと、割と悠々自適に暮らしていた。



 干し肉は結構いけそうだったのだが、昨日の朝、〖猩々〗という赤毛の猿のようなモンスターの集団に根こそぎ奪われた。

 外が騒がしいと思い早朝に眠い目を擦って外に出たら、丁度あの憎たらしい猿共がキャッキャと笑いながら干し肉に齧りついているところだった。

 久々に殺意が湧いた。


 全力で追いかけたけど、アイツらクッソ速いのなんの。

 あっという間に見失っちまったわ。 


 冷静になってから考えたら、あの数相手だったらほぼ確実に返り討ちになってたんだけどな。

 猩々、結構ステータス高かった。

 タイマンなら一方的にシバき回せそうなんだけどな。


 俺はまたグレーウルフを乱獲し、大量の干し肉を作り直して木に刺しておいた。

 別にそこまで干し肉に固執する意味はないのだが、半ば意地だった。

 ただ、これだとまたあのクソ猿共が奪いに来かねない。

 だから毒キノコをひたすら集め、壺甲羅に入れて煮詰めて強力な毒薬を作り、干し肉の一つに塗り込んでおいた。

 まだトラップの結果は出ていないが、あの赤猿が苦しがってのた打ち回るのを想像すると胸がすっとした。

 いや、もう二度とアイツらが来ないのが一番いいんだけどな。



 毛皮は殺菌と脱水が終わってから、湖で洗って塩を落とした。

 また木に〖ベビーブレス〗を吹きかけ、小枝やら葉やらを奪い取って物干し竿に改造。そこに毛皮を干して乾燥させた。

 今は我が家の絨毯となっている。

 防腐処理は完全ではないと思うが、とりあえずはあのままでも大丈夫そうだ。

 毛皮の上で横になると暖かくて気持ちいい。



 着実に塩と香辛料を増やしていく傍らで、その日喰う分のグレーウルフやホーンラビットなど、格下の魔獣を狩っていく。

 最近、Eクラスのモンスターとばかり闘っている。


 うんうん、このまま緩やかなレベリングも悪くないかもしれないな。

 つってもここ三日でLvが1しか上がってないが。

 スキルも〖コックさん〗がLv3になったくらいだ。



 久し振りにちょっと遠くまで行ってみるとすっかな。

 食糧を入れておける壺的なのが数個ほど欲しくなってきた。

 肉用と塩用、それから香辛料用、


 後、新しい鍋も必要だ。

 憎悪に駆られて考えなしに壺甲羅で毒を生成してしまったため、もうアレは食い物を入れていいような状態ではなくなってしまった。


 新しい壺甲羅が簡単に手に入るのならそれでもいいけど、壺甲羅壊さずにツボガメ倒すのって不可能に近いんだよな。

 10体倒した中で一番損壊の少なかったものでさえボロボロなわけだし。

 


 新しい食と壺を求め、森の行ったことのなかった方面へと〖転がる〗で移動する。


 道中でホーンラビットを見かけたので、軽く追いかけ回して撥ねておいた。

 セコセコと経験値を稼ぐ。

 帰りに肉を回収しよう。


 あのホーンラビット、ちっと素早かったか?

 いや、ここしばらく平穏だったから、俺の方の勘が鈍っちまったかな。

 やっぱ適度に、緊張感のある闘いに身を投じないと駄目だな。

 とはいえランク上と闘うのはしばらくゴメンだけど。


 リトルロックドラゴンといい、オオツボガメといい、Cクラスは化け物ばっかしだわ。

 あんなのと闘ってたら命がいくつあっても足りねぇよ。

 つってもまぁ、Cクラスモンスターなんて本当にあの二体くらいしか見たことねぇけどな。


 そんなことを考えながら転がっていると、何か妙な音が聞こえてきた。

 不穏な気配を察して俺は回転を止め、足で踏ん張って急停止する。


 ドンッ、ベチャ。ドンッ、ベチャ。

 ドンッ、ベチャ。ドンッ、ベチャ。


 なんだ、この音は?

 足音っぽいけど、それにしてもなんだか妙だ。

 遭遇したことのない魔物であろうということだけはわかったが、それ以上のことはわからない。


 息を殺し、音の方向から見えないように木の裏へ木の裏へと隠れながら、ゆっくりゆっくりと近づく。

 バッと音の方へ目をやれば、大きな熊……っぽいものがいた。


 熊ではない。熊ではないことは明らかだった。

 あんなものが熊なはずはない。

 つうか、なんというか、熊を模したものっつうか……ぶっちゃけ、熊の形をした黄土の塊だった。


 とりあえず〖ステータス閲覧〗だな。


【通常スキル〖ステータス閲覧:Lv5〗では、対象との距離が開き過ぎているため情報を取得できません。】


 ……ちっと距離がありすぎるか。

 なんかヤバそうな外見してるから近づきたくねぇんだよな。


【個体のステータスの取得は不可能ですが、種族の詳細についてならば開示することができます。】


 おお、そういえば〖ステータス閲覧:Lv5〗にはそんな機能があったな。

 早速やってみっか。


【〖クレイベア〗:D+ランクモンスター】

【土塊から生み出されたモンスター。】

【力が強く、また再生能力も高い。】


 なるほど、D+ランクか。

 これだったら充分闘って倒せるし、経験値もほどほどにもらえそうだな。


 ただ倒しても喰えそうにないのが難点だが。


 いや、でもアイツぶっ倒して形整えてから焼いて固めりゃ、壺と鍋が手に入るんじゃねぇのか?


 よし! ボコボコにして変形させて、マイホームの礎にしてやるよ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いつも読んでいただき、ありがとうございます!
↑の評価欄【☆☆☆☆☆】を押して応援して頂けると執筆の励みになります!





同作者の他小説、及びコミカライズ作品もよろしくお願いいたします!
コミカライズは各WEB漫画配信サイトにて、最初の数話と最新話は無料公開されております!
i203225

i203225

i203225

i203225

i203225
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ