表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したらドラゴンの卵だった~最強以外目指さねぇ~  作者: 猫子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

223/766

223.ワイト

 人骨は祠の壁に凭れて座り込み、自分のばらけた足の部位を抱える。

 カタカタと、寂しげに顎の骨を鳴らしていた。


 ひょっとして、人間の意識あんのかな……。

 だったら下手に壊すわけにも……ああ、やっぱし変なことするんじゃなかったか。


「ガァッ!」


 相方が鳴くと、再び人骨を黒い光が包む。

 ばらけていた足や腕が、元の部位へとくっ付いた。


 なるほど、〖魂付加(フェイクライフ)〗がねぇとくっつかないのか。

 

 ステータスチェック……できんのかな、これ。


‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

種族:ワイト

状態:呪い

Lv :1/5

HP :7/7

MP :2/2

攻撃力:2

防御力:1

魔法力:3

素早さ:2

ランク:F


特性スキル:

〖グリシャ言語:Lv1〗〖アンデッド:Lv--〗

〖闇属性:Lv--〗


耐性スキル:

〖状態異常無効:Lv--〗〖物理耐性:Lv1〗

〖魔法耐性:Lv1〗


通常スキル:

〖ゲール:Lv1〗〖ポアカース:Lv1〗

〖ライフドレイン:Lv1〗


称号スキル:

〖邪竜の下僕:Lv--〗

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


 ワ、ワイト……。

 やっぱりこれ、駄目なんじゃ……。

 外見で薄っすらわかってたけど、完全に人間辞めてんじゃねーか。


 状態異常無効か……なんか、進化したら強くなりそうだな、うん……。

 つーか〖邪竜の下僕〗ってなんだよ、んなもん俺望んでねぇよ。


 壊すか? やっぱり壊した方がいいのか?

 このままにしとくのって、絶対死者弄んでるよな。

 本人も苦しかったりするんじゃねぇのか。

 〖状態異常無効〗なのに、呪い入ってんもん。

 〖魂付加(フェイクライフ)〗が呪いみたいなもんだろこれ。


 でも復活させて即殺すっつうのもなんか、なんか……。


 ワイトがなんなのか、ちょっと一回見てみっか。

 うん、それがいい。それを見てから考えても遅くはない。


【〖ワイト〗:Fランクモンスター】

【死体に悪霊が憑依したモンスター。】

【さほど強くはないが、ただの人骨の振りをして人間を襲うことがあるため危険。】

【動物に乗り移っているものは〖ビーストワイト〗と呼ばれるケースが多い。】


 人間ですらないじゃねぇか!

 悪霊っつうか俺の魔力だよな。

 〖魂付加(フェイクライフ)〗っていうくらいだもんな。


 これで後腐れなく心置きなく壊せるわ。

 中途半端に人魂戻ってたりしたら手詰まりだったかもしれねぇ。

 良かった良かった。


 とりあえずあれだ。

 死体に使っちゃいけねぇってえことがよくわかった。


 悪いなワイト、壊させてもらうぞ。

 俺が腕を向けると、ワイトはそっと膝をついて頭を下げる。


 〖邪竜の下僕〗ってあるくらいだし、俺に絶対服従なのかもしれねぇな。

 俺が造った魔物みたいなもんだもんな。みたいっつうか、そんままか。

 俺に刃向かって来たらむしろクソスキルだわ。


 さくっとバラバラにして森に埋めるか。


 俺はそうっと、ワイトの項部分に爪を立てる。

 それでもワイトは、抵抗しなかった。


「ガァ……?」


 相方が、じぃっと横から俺を見つめてくる。

『壊していいの?』と俺に問いかけてきているようだった。


 や、やめろよ。やり辛いじゃねぇか。

 これ、ただの魔力だから。人間どころか生物じゃねぇから。

 むしろ生物の身体乗っ取って死体操ってる奴だから。


 ……操ったのは俺か。

 いや、だからこそ元の持ち主のためにも、きっちりとトドメを……トドメを……。


 カタカタと、ワイトが顎の骨を鳴らす。

 笑った……?

 いや、震えてんのか?

 絶対服従だとしても、やっぱりちょっとは意思が……。


 ……………………。


 俺は持ち上げた前足をそっと降ろし、ワイトを観察する。


 ワイトが骨を鳴らしながら、不思議そうに俺を見上げ、首を傾ける。

 その仕草はどこか幼く、いじらしかった。

 まるで悪戯を見つかった子供が、怖々と親を見ているようだった。

 ワイト越しに、小さな骨の所有者だった子供の姿が見えた気がした。


 ……壊せねぇ。

 ど、どうしよ、これ……。

 とりあえずリトヴェアル族には絶対見せらんねぇわ。

 絶対まずいことになるわ。


「グゥオ……」


 俺が首を祠の奥へと向けるとワイトは立ち上がり、よろめきながら示した方へと歩いて行った。

 どうするよ、どうするよあれ。


 子蜘蛛育てるのとはワケが違うぞ。

 骸骨なんか絶対育たねぇよ。成長期終わってるよ。

 人生が終わってんだから間違いねぇ。


 仮に大きくなったとしても、自然に返そうなんてできねぇよ。

 骸骨の魔物なんか野放しにできねぇよ。

 ちょっと目を放したら、なんかめっちゃ仲間(道連れ)増やしてそう。


 や、やっぱり、死者への冒涜だよな。

 いやでも、生前の面影が……。


 第一同居人が骸骨と蜘蛛って、マジでどうすんだよこれ。

 お化け屋敷かよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いつも読んでいただき、ありがとうございます!
↑の評価欄【☆☆☆☆☆】を押して応援して頂けると執筆の励みになります!





同作者の他小説、及びコミカライズ作品もよろしくお願いいたします!
コミカライズは各WEB漫画配信サイトにて、最初の数話と最新話は無料公開されております!
i203225

i203225

i203225

i203225

i203225
― 新着の感想 ―
[一言] 好奇心がワイト・・・鼻水出ましたわ! これは冒涜すぎて草生えますが、悪意が無いのが実に困りますねw
[一言]  何か色々とコースがずれて意外性が楽しめます。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ