第68話 はじめてのハイ・カード
つるはしを担いだデュラハンを疾走させ、ワープポイントから一分近くで風の大岩に辿り着いた。人間の状態じゃなく、野良ウルフを避けて通らず、しかもコ――なんとかさんさえいなければ、意外に近いと気付いた今日この頃。いや、大分前から気づいてはいたけど。
採掘している人に迷惑をかけないように、人が届かない四メートルの高さにある白い粒子を噴き出しているポイントに向かってつるはしを振り下ろす!
ハイ・ゴーレムの手でつかめるビックサイズのカード……ちょうど一メートルくらいの高さか。それが現れる。
ゴーレムのカードアルバムに入れ、それを何度か繰り返す。周りで歓声が上がっているので、時折「どうもどうも」と愛想笑いをしながら作業をしていく。
ハイ・ゴーレムが採掘している姿が当たり前になるのはこのワールドだと、どのくらいになるんだろうな? 俺以外にハイ・ゴーレムを売る奴がいないんなら、迷惑考えずに安く売っちゃうんだけど……
気付いたことがある。俺は自分でハイ・ゴーレムを動かすのも好きだけど、人が操縦して動いている姿も好きなのだ。むしろロボットアニメ好きと言うことは視聴者の視点でロボットが好きな奴が多いんだろうから、俺の感覚がわかる人も多いと思う。
それにワールドの活性化は長期的に見て俺のプラスにもなるし。人がいなくなった寂れた世界はそれこそさびしい。
まあ、ともかく。俺は『風岩の大塊。ランクD。風属性』を俺が四枚、アイリスが十枚、ハイ・ゴーレムのアルバムに十七枚、アイテムBOXに五枚の合計三十六枚ほど集めて帰還した。
アイリスにインストールする分も取りたかったが、この世界じゃ珍しいハイ・ゴーレムに乗っていると直ぐ人が集まってしまうため、いちいち対応していたら、二日後に迫ったイベントに間に合わなくもなりそうだから失礼にならない程度に応対しながらその場を去ることにした。
俺は手を振る人達にハイ・ゴーレムの手を振ってハンガーに戻った。採掘ポイントは他にも見えたが、そう多くはなさそうだったので、また数時間たってから行ってみようかな。
「マスター。ギルド・マスターたちからメールとカード、または素材が届いています」
「あ、そう言えば今日か」
マイルームに一度戻りメールを見る。三者三様の書き方ではあったが、こちらの都合が良ければ、今日の夜の八時から十時ごろに全ギルドでまた会い、その時にハイ・ゴーレムを渡してほしいことが書かれていた。
彼らから送り届けられた素材、またはカードは、マイルームからなら無料で送ることができるらしい。
その素材にはそれぞれのギルドでプロテクトがかけられており、ハイ・ゴーレムの製造にしか使えないようになっていた。さらに24時間後には本来の持ち主の元に戻るようになっており、逆にハイ・ゴーレムになった場合は四十万ラムスの資金が、その二十四時間後にハイ・ゴーレムが強制的に向こうのものとなった時か、渡された時に自動的に払われるようになっていた。
信用がないなー……と言うよりは当然の措置だと思えた。それにちゃんとこっちへの支払いも盛り込まれてるみたいだし。素材自体が契約書になっているみたいだ。
カードは俺がちゃんと解体して、本気で生産した。
鉄鉱石Bランクなんてどこで手に入れたんだろうな? 荒野か森か……風の大岩のカードを大量にインストールして、赤色の粒子ができるまでインストールし続けたのだろうか?
素材から見るにロボマツギルドは鉄蜘蛛を手に入れることはできなかったようだ……
まあ、それでもカスタマイズをつけたら、どこのギルドもCランクに届くステータスが多かった。ビッグスライムの素材はどこも簡単に手に入れられたようで、魔力と消費魔力だけは専用機化する前の俺の一号機と同じランクだった。
「ふー……一応、満足のいく仕事はできたかな?」
「はい。素晴らしい出来前だと思います」
アイリスとともに別に汗をかいていないのに額の汗をお互いぬぐうようにした後、二人で少し笑った。
うん、自分のものじゃないハイ・ゴーレム造りはまた違った高揚感みたいなものがあるな。相手に満足してもらえるかどうかの不安もまた大きいが……Dランクの機体に乗った後だと、一応満足してもらえるレベルだとは思う。
さて、仕事も終わったことだし。楽しみのハイ・カードの解体に行きましょうか。
それが量産化のカギだとはこの時点ではまだ思ってもいなかった……
最近説明回が多くてすみません。次回からは、桜子も登場し、三ギルドとゴーレムのランクの違いを調べたり、ワイワイガヤガヤする予定です。
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それでは次回で。




