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第57話 ハイ・ゴーレム売るよっ!

 カスタマイズ、そして専用機化のことを話したら、一瞬の静寂の後――驚きの声や感心したような声が上がった。


「二つ合わせたら1.5ランクアップってすごくないですか!?」

「だって、最低のFランクの性能がE+まで引き上げられるんだもんな……いや、習得条件が全ての能力がDランク以上って言うのは大きいけど」

「ここら辺の素材でDランク以上っていく? そこら辺、第一世界に詳しい人に聞きたいわ」

「ムッ……生産者の数があまり多くないのは前にも言ったことはあるが、それはパイロットだろうと、生産スキルが使えるためだからな……生産者の数が少なすぎて、詳しい情報は無いんだ。少ない生産者は戦闘が苦手だから、大手のギルドの誘いに乗って情報はさらに隠蔽されていくしな」


 へー第一世界でも生産者は少ないのか。まあ、習得経験値が生産者の半分になるとはいえ、パイロットが生産できなくなるわけじゃないと言うのは元第一世界の彼が言うとおり大きなポイントなんだろう。


 後、貴重な意見だったのが。


「専用機化はもろ刃の剣っぽいですね。さらに高性能な機体を造れた場合、前の機体を他人に譲れなくなると言うのはちょっと」


 それを売るだなんてとんでもない!

 ……と言う貴重品は売れない法則になってしまうのが専用機化だもんな。

 誰かに売ることも、他人に譲ることも出来なくなる……ハンガーの物置になってしまうか、NPCに安値で売るしか無くなるわけである。


 俺は最初の機体だし、譲ったり貸出したりするギルドメンバーもいないし、自分でも納得できる高ランク機体だったので損したとかは思っていない……が。商売として考えると悩みどころだな。あまり人に勧められないと言うか。


 やはり、現実……仮想世界でも、コストパフィーマンスに優れ、割と誰にでも扱えて、乗り換え自由な量産型が人気なのか。フリー○ムガ○ダムさんディスッてんの!? とキレられないくらいに俺も気持ちはわかる。


 言うなれば、初心者がこの世界に初めて入ってきた時に、俺の余っている0世代型やるよ――って言う、微笑ましいイベントが出来ないってことだもんな。

 ……まあ、例え専用機化してなくてもこいつだけは譲れない様な気がする。


 ほんと、俺とアイリスの時間と努力と汗と涙の結晶だもんな。こいつを作るまで偉い長かった。正直、最低ランクかそれよりちょっと上のものなら二日目か三日目で出来ただろうが、良い物作るためにスキルlvからあげて、素材にもこだわって……あ、ちょっと涙出た。


 そして――俺はこの質問にぶつかることになる。


「青い稲妻さんは、その、ハイ・ゴーレムを造って売ったりはしないんですか?」


 乗せてほしいと言いだした中学生くらいの女の子の、これに乗れないなら他のが欲しいと言う当然と言えば当然の質問に俺は固まった。

 売る? ……その発想は無かったわぁ。


 いやいや、普通に考えれば生産者は生産品を戦士――パイロットに売ってお金をもらい、そのお金でパイロットから素材を買って新たに生産品を売り……と言うのが普通のサイクルであろう。


 俺の場合、採取、戦闘、生産の全てを俺とアイリス、時々コラムダさんで全てやってしまっていたからな……

 目からうろこが落ちるとはまさにこのこと。


「あー……うん。さすがにこいつと同性能のものを造って売るのは大変かもだけど、カスタムに専用機化でのCランククラスのなら造って売れる……のかな? ……いや、試作もしていないのに断定はできないか……」

「「「Cランククラス!?」」」


 あれ、驚かれたな……

 いや、さすがに鉄蜘蛛は無理だろうけど、鉄鉱石のCクラスでフレームと装甲を造ってもさすがにE+くらいにはいくだろうと思うんだけど。スキルlvは鉄蜘蛛素材の装備とこのデュラハンを造ったために、五十に達したし、生産アイテムも鉄蜘蛛装備だしな。そこから1.5ランクアップなら……うん。


 それにビッグ・スライムの素材ならサーチ&デストロイができるので、結構余っていたりするし。ユニーク・モンスターだから5枚落とすし。そしたら、コアと魔力供給液は俺のハイ・ゴーレムと同じになって、魔力C+と魔力消費Bと言う俺の機体と同じランクにその二つはなるだろう。


 ああ、でも、専用機化は売れセンじゃないんだよな……じゃあカスタマイズだけとなると……それに机上の空論はこの前失敗したから、さらにランクを落として……


「Dクラスのなら安定して出せるかも……」

「「「欲しいっ!!」」」


 十人ほどの中の三人――どうやら三グループほどに別れていて、それぞれのリーダー格の人が真っ先にそう言った。


「ロボットを操る練習に一台は欲しいっす――って言うか早く乗りてぇ!!」

「そうよねー……それに人を手に乗せて走ることも出来るから、素早く採取地に移動できるのもいいし」

「ああ……反応、俊敏、器用さ、居住性の四つがDランクなら操縦初心者でも安定して動かせるらしいしな」


 俺のクズ鉄装備の人、アイリスに助けられたお姉さん、第一世界からこちらに移住してきた人がそれぞれ言う。ふむふむ、仲間がいると『足』として使うという発想が生まれるのか、まあ乗り物だしな。それにランクの話も興味深い。


 問題は素材の数だよなー……そこに見える風岩の塊からはCランクのカードが手に入ったとはいえ、手に入る鉄鉱石はそう多くない。クズ鉄も同じテーブルから選ばれるからな。そして風のコアも。これも数を多くこなすしかないか。


 糸は、野良クモを倒しまわって……鉄蜘蛛もついでに狩れるからちょうどいいかな? デュラハンの装備も造りたいし。

 俺は素材集めからはいらないとならないから結構かかると言うことを説明する……と、


「もちろん、俺たちも素材集めから手伝うっす!」

「そうねー……その分安くしてもらえると」

「おいおい……こっちは凄い情報を二つ教えてもらった上に、その高レベルなスキルlvで機体を造ってもらえるんだぞ? 贅沢を言うもんじゃない」


 あ……値段か。そう言えば、ハイ・ゴーレムの値段の相場ってお幾らくらいなんだろうか?

 他の生産者が商売している所を見たことないし、NPCが店をやっている地下街もほとんど行っていない。一応、ハイ・ゴーレムは造れたからたまにはのんびり地下街をアイリスや香坂と見て回るのもいいかもしれない。


 俺はアイリスが少し離れた所で、自分の弟や妹たちであろう動物精霊AIたちと戯れているのをほほえましく思いながら、第一世界からこっちに引っ越してきた長身のすらっとした武骨な顔立ちの人に聞いてみた。


「ちなみに、第一世界のデュラハンの相場ってお幾らくらいでした?」

「ムッ……いや、凄い情報を教えてもらったあなたには正直に話そう……ほとんどがDランクのステータスならば、百万ラムスが最低価格だった」


 ブーッ!!





 と主人公は驚いていますが、ぼったくり価格と言うほどではないです。造る際の素材の数の多さや、その素材がNPCに売れる値段、生産者の人件費? みたいなものを含めるとどうしても……さらに、ほとんどがDランクと言うことは、その制作者にはあのスキルがないわけで……詳しい説明は次回で。


 お気に入り登録、感想、評価ありがとうございます。またおまちしております。


 それでは次回で。

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