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第56話 戦慄の青……い人

「よし、今日の戦闘訓練はこのくらいにしておくか。初めてにしては、凄い良かったと思う」

「はい。普段の身体より重い事を含めた動かし方も違和感が無くなりました」


 野良ウルフとスライムを相手にして、だんだんハイ・ゴーレムの動かし方のコツは掴んでいった俺とアイリス。

 楽なのは通常操縦で、ある程度自由に動かしたいのなら半思考操縦、完全に自由に動かしたいのなら思考操縦と言う感じか。


 動かして思ったのは、思考操縦だと突然のことに対処できない感じだ。俺のイメージをアイリスが受け取って機体に反映するため、アイリスが事前に予測した俺の行動から大きく外れた動きをすると、機体が一瞬止まる感覚がある。


 例えばパンチが当たるイメージだけでも、アイリスは常日頃から俺の格闘を見て記憶しているため、足さばきから腰の回転、そして突きを繰り出す一連の動作を俺の思っている通りにスムーズにすばやくしてくれる。


 結果をイメージするだけで、結果までの過程を俺がイメージせずともアイリスがうまく処理してくれるのだ。

 だが、普段やっていない行動――いきなり機体にダンスを踊らせようとしても一瞬どころか動かない。ステップからターン――つまりダンスが終わるまでの過程を繊細にイメージしないと機体は動かないのだ。一度やってしまえばアイリスが学習するため、スムーズに動くんだけど。


 つまり、俺の集中力が凄いと言うよりは、アイリスの俺への理解度が凄かったと言う話ではなかろうか? 

 まあ、アイリスが生まれてからほとんど一緒に居るし、コラムダさんのおかげでアニメ知識も似通ってきてるしなぁ……良い事何だか悪い事何だか。自分に似て来てうれしいと思えるのは、今現在の自分を肯定できる強い人間くらいなものだろう。


 逃げれることからは逃げて、逃げられないことには全力で立ち向かう……はてさて、こんなめんどくさい俺の本質までは似ないでほしいものだけど。

 話を戻して。時折操縦方法を変えながら俺たちは野良ウルフやグリーン・スライムを相手にした。


 結果手に入ったカードはFかEだった。機体から下りて倒したら、普通にDランクのカードだったことからして、どうやらハイ・ゴーレムに乗って人間が相手に出来るサイズの敵を倒すと、手に入るカードが最低ランクになってしまう様だ。


 ……だが抜け道はあると思う。少なくとも色々やってEランクのカードが手に入るようになったのだ。

 俺とアイリスはVRMMO……ゲームの世界と割り切って、様々な倒し方をして見た。うん、現実世界だったらドン引きされそうではあるな。


 最初の拳の一撃から始まり、蹴ったり、踏みつぶしたり、投げ飛ばしたり、引きちぎったり――と言うのはさすがに止めたけど。

 その後も色々やってわかったのは、どうやら与えるダメージに関係あるらしいと言うことだけ。指一本だけで、優しく……と言うほどではないけど、上から突いた時にEランクカードになったからな。


 これは俺の予測だが、チュートリアルエリアでAランクのカードを取った時のことを思い出してもらいたい。あれは本当に単にリアルラックだったのか? それ以外の要因があったのじゃないか?


 武器ももたずに踏みつぶした……つまりあの時できる下から数えた方がいいほどの弱い攻撃だったはず。それで一撃で倒したらAランクのカード……

 もしかして、相手のHPをちょうど減らして倒す……もしくはその前後あたりで、レアカードが出やすいと言う推測を立ててみた。


 こう考えると、難易度的にぴったりの様な気がする。オーバーダメージでカードのレア度が下がると言う前提で考えるとだが。

 モンスターカードをインストールしまくれば、いずれ正確な相手のHPの情報を得ることも可能だろう。後は……相手のHPをちょうど減らしきるために弱い武器を一緒に持っていくか……それともそう言うスキルが後半手に入るのだろうか?


 なるほど。採掘なども生産系スキルなら、パイロットは本当に戦闘特化で生産者より先のフィールドで冒険して生産者が取れないカードを持って来るしかない……と思っていたのだが、俺が想像する『手加減系スキル』が高レベルの戦闘系スキルでしか手に入らないとすると、パイロットの素材集めは格段に良くなるだろう。


 鉄蜘蛛のカードがBランクからAやSになっただけでも、俺のデュラハンはいくつかの項目がAかA+に届くかもしれないしな。

 まあ、他にも弱点を攻撃したりだの、色々な要素が絡んでいる気がするが……まあ、予測は予測でしか無い。


 さて、どこぞのデュエリストな社長らしく、低ランクのカードはすぐさまいけにえにささげて神を召喚――じゃなく、アイリスにインストールした。

 いやあ……堪能した。やっていることは弱い者いじめと言うか、虐殺と言うものばかりだったけど、逆にすばしっこく小さい相手に攻撃を当てると言うのはかなりの練習になった。


 後は魔力と言うエネルギーの減り方だな。

 俺のデュラハンは魔力C+の魔力消費Bと言うランクになっている。

 アイリスから教わった例では通常起動――歩いたりするだけなら、Fなら二時間、Eなら三時間、Dなら四時間と言う風にランクごとに一時間ずつ増えて行くらしい。俺のC+なら五時間半の起動時間と言うことだ。


 これだけなら長いように感じるが、走ったり飛んだり拳を振るったり……所謂、戦闘起動に入ると極端に減っていく。これを和らげるためのステータスが魔力消費なのだ。

 俺のはB+と言うこともあり、さらに専用機化の恩得でさらに戦闘中の消費魔力は減っているため、C+の魔力でも三時間程度は持つらしい。スキルの無駄な連発を避けた場合の話だけど。


 あと、重要なのは魔力のランクで機体を休ませている間の魔力の回復量も変わってくるということだな。最大値がランクが上がるごとに増える仕様のため、結局完全回復には同じ時間がかかるらしいが。ちなみに完全回復には完全空っぽの状態から数えて、五時間休ませなければならないらしい。


 ゲームの世界だと偉い長いけど、これ、現実なら凄いエコな機関だよなー……太陽光も、水も電気も不要で五時間休ませるだけで燃料全回復とか。

 後、裏技的に自分のMPを魔力に返還させて動かすことも可能らしいが、効率が悪過ぎて緊急時の最後の手段として考えた方がいいらしい。


 ――そんなデュラハンのあれこれをアイリスと確認し合いながらワープポイントである柱に向かうと、何だか手を振るプレイヤーさん達が……

 俺とアイリスは顔を見合わせ?を頭の上に浮かべながらも、ハッチを開けて話を聞くことにした。


「うわ! やっぱ青い人のハイ・ゴーレムだったんすね! すげぇ!」

「さすが青い死神の人だ……俺、実は第一ワールドの奴らとソリが合わなくてこっちに来たんだけど、あそこで見たDランク級のデュラハンじゃあんな加速やスムーズな動きはできなかったな」

「あ、どうも青い閃光さん! 俺、あなたにクズ鉄装備一式もらったプレイヤーなんですけど覚えてます? アレから戦闘がすごい楽になって助かりました!」


 えーと……青い……なに? 知り合いと言うほどではないが、何度か話したことのある人もいたので降りて話を聞くことにすると……


「きゃー! アイリスちゃんよ! この前は助けてくれてありがとう!」


 だの。


「アイリスさんちーっす!! この前はピンチのところ助太刀サンキューッす!」


 とか言われて、アイリスは俺の頭から下りて幼女化しポリポリと頬を書いて――ああ、こう言う所も俺に似てきてるなーとか思う――照れくさそうに、


「どうも……」


 と返事をした。その瞬間、きゃぁああああああだのうぉおおおおおおおおおおおだのと言う叫びが草原に響いた。

 彼らが連れているオオカミっぽいのやら鳥っぽいのも嬉しそうに鳴き声を上げているのはなぜだろう?


「アイリス、なんかしたのか?」

「えーと……マスターに頼まれた素材集めの途中で困った人たちがいたら、助けるようにしてましたが……」


 なるほど。それが人気の理由か。くそう、マスターにいわれなくても善行してるなんてなんてうちのアイリスはいい子なんザマショ!!

 俺がアイリスの頭をいい子いい子して、アイリスが気持ちよさそうにしているのを見て、また歓声が上がったり嫉妬の視線が突き刺さったり――おい、この中にロリコンがいるぞ!?


 いつの間にか、草原の散らばっていたプレイヤー……約十名ほどが集まっていた。俺が装備やアイテムを上げた人達や、アイリスに助けられた人たちかぁ……それでも生産者の人が一人もいないのはどう言うことだ? 


 やはりロボゲー・オンラインのプレイヤーはロボットを操りたい人が多いんだろうか? いや……生産者はそもそもあまり外に出ずに生産しているものなのかも。単に俺があまりある時間をプレイ時間につぎ込んでいるから戦闘もこなせているだけなのかも。


 まあ、そう考えると、こんな質問――と言うよりお願いが出ることはわかるわけで。


「すいません、青い稲妻さん。ちょっとだけ乗せてもらってもいいですか? チュートリアルで乗って以来で、ほんの少しだけでもこの子と乗せてもらいたいんですけど……」


 申し訳なさそうに、中学生くらいの小さな女の子が言うと、大人のプレイヤーたちも少年の様な目でうんうんうなずいてくる。いや、そもそも青いホニャララってなんのことだよ?

 ロボ好きな気持ちが良くわかる俺としては、そのお願いを聞いて上げたい所なんだけど……。


「俺のハイ・ゴーレム『専用機化』しちゃってるから、他の人は操れないんだよ。悪いんだけど」

「「「専用機化?」」」


 第一ワールドの人達には辿り着いてこそいるが、他のプレイヤーたちと差を開けるために秘匿しているであろう情報を、この世界に住む仲間として俺は教えることにした。

 そう、俺は俺TUEEEがしたいわけでもない。精霊AIのアイリスにちゃんと礼を言える人たちだし……それに良い事をやって、俺以外の人に礼を言われると言うのは、アイリスの心の成長にはとてもプラスになることに違いない。


 その礼と思えば安いものと、俺は彼らにカスタマイズのことも伝えたのだった。






 ハイ・ゴーレムを一から全部自分の手で造るという目的を果たしたセイチの次なる目的につながるお話です。セイチはコミュニケーションに苦手意識があるだけで、人助けとか嫌いなわけじゃありませんから……とすると?


 お気に入り登録、感想、評価ありがとうございます。またお待ちしております。


 それでは次回で。

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