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超番外編 ロボゲー・アナザーラインへようこそ! 2

「マスター!」

「アイリス! どうなってるんだ? 戦争って……」


 俺はどうやらこっちの世界では人に見えなくなることも出来るらしいアイリスに、諜報活動を行ってもらっていた。

 帰れる手段を探すと言う物では無く、単純にこの世界の今現在のことを知らなすぎる現状をどうにかするためのものだ。第0世代型が流行っている理由などもアイリスが調べてくれたのだ。


 戦争だと知らせてくれたハイ・ゴーレムが去っていくのを見た後、すぐさまアイリスが小型化した状態のまま空を飛んできた。

 慌てている様子から、戦争のことを知っていると見た俺は両手でアイリスの足場を作ってそこにアイリスを乗せると、すぐさま戦争のことを聞いた。


「はい。どうやら帝国軍がこの街に既に攻め入っているようです。冒険者に化けて、いくつの小隊が街の近くで待機していたのを不審に思った街の警備隊が声をかけたところ、戦闘が始まったようです……今、南門で街の警備隊と冒険者のハイ・ゴーレムが帝国のハイ・ゴーレムに応戦しているようですが、相手は全機体が第2世代型……第1世代型の警備隊や冒険者のハイ・ゴーレムでは厳しいはずです」


 ……なんてこった……

 帝国――『エイルズ帝国』は、人々の生活のためのハイ・ゴーレムを軍事目的で利用し始めた新国家である。この火の荒野の南、始まりの遺跡から離れたゲーム内では高レベルゾーンと呼ばれる場所にある帝国。


 そのため、必然とハイ・ゴーレムは戦闘能力に秀でたものが造られ、人々が使う物でも第1世代型、軍ならば最低第2世代型と言う国である。

 それがどうしてこの街を攻める? ここは火の国の街――つまり、他の地の国、風の国、水の国と連合を組んでいる連合国だぞ? ハイ・ゴーレムの差はあれど、国力が段違いだろ? ジ○ンの真似か?


「相手の意図はわからんけど、南か……ここは北の郊外だし、逃げる分には良い場所だ! 子供たちと院長先生を連れて街の外へ行くしかないな!」

「了解です、マスター!」


 アイリスは俺の頭に移り、俺は屋根の上から下に誰もいないことを確認して飛び降りる!

 ふわりと着地して、孤児院内に……いるわけないよなぁ、あの元気100パーセントのちびっ子たち三人が……しょうがないので、院長先生に事情を話し、衣食住の衣食だけでも確保してもらうように言いに行く。


「アイリス、子供たちの位置はサーチできるか?」

「はい。いつもの空き地に居る様です」

「悪いけど事情を話して連れてきてくれ。俺は院長先生と数日の食糧と代えの服の1着くらいは用意しておく!」


 戦闘が街中に移るのも時間の問題だろうし、いくら戦闘中の場所から最も離れた北の郊外とはいえ、油断はしたくは無い。

 ――ここは地球じゃない。非戦闘員は殺さない、虐殺は許さない、病院は攻撃してはならない……などを期待してはならないのだ。


「わかりました! マスターもお気をつけて!」

「ああ! アイリスもな!」


 俺はすぐさま孤児院内に入り、院長先生を――と、通路に居た!


「よかった! 先生! 戦争だそうです!」

「ええ、私も聞こえてました。子供たちは……」

「アイリスが迎えに行きました! 帝国の軍がどう言う軍なのか僕は知らないのですが……念のため、服と食糧をもって街の外へ出た方がいいと思うのですが?」


 白髪の混ざり始めた金髪を一度撫でた後、いつもの柔和な笑みではなく真剣な顔をした院長先生はコクリと頷いた。


「ええ。彼らは新国家を建てる時、血の争いの果てに国王を決めた国です。その軍もあまりいい噂を聞きませんから、千一さんの言う通り、逃げた方がいいでしょう」


 うわ、やばげな国だな……って、宣戦布告もせずに奇襲しかけて来てんだから今さらか。

 俺は食料の確保に台所に向かおうとして。


「千一さん……まことに申し訳ないのですが……あの人を連れ出してはもらえないでしょうか?」

「……! ご主人を?」


 院長先生の夫――ハイ・ゴーレムの博物館の館長をやっているガンジさんのことを俺は言われて思い出した。

 しまった……筋肉モリモリの六十過ぎには見えないおじいさんだから、助け何ざ必要ないと無意識に除外していたのかもしれない。博物館は中央南寄り……ここよりはるかに危険だと言うのに!


「はい……あの『青いハイ・ゴーレム』我が子同然のように思っている人ですから、きっと死んでも離れようとしないでしょう……」

「……わかりました。ぶん殴って、骨折って、歯砕いてでも連れてきます! 俺の骨と歯ですがね!」

「うふふふふ。いえ、主人の骨と歯を折ってください……もうほとんど会っていないとはいえ、未だに私は愛しているのです……お願いします」


 かあ! こう、若い夫婦ののろけは聞いていてムカつくだけなのに、お年寄りののろけはどうしてこうも若者の胸を打ちますかね!

 しょうがない……無茶するしかないか!




『――そんな、マスター危険です!?』


 ロボオン内ではほとんど使うことのなかったウイスパー機能を使って、テレパシーの如く遠くのアイリスに今の状況を説明する。


「でもさ、アイリスにあのがんこじじいの説得は無理だろうし……それに、あそこにある『アレ』を使えばもしかしたらこの状況をどうにかできるかもしれないじゃないか」

『マスター……』

「みんなと待っててくれ。直ぐ行くから」

『わかりました……信じます、マスター!』


 俺はアイリスとの会話を終了させて、屋根の上を飛び移るのに集中する。

 下の通りは大混乱。第0世代型を運転するお父さんと、その手に乗る妻と子たちと言う姿が多くある。


 ――やはり、この世界では民間人も殺されかねないのか……遠くの方では、黒煙が上がり、火が広がっている……逃げ遅れた人がいれば、もう……

 俺はゲームの主人公じゃない……それを理解しながら、もうこの時点で俺のハラは決まってしまっていたのかもしれない。人の命の重さをあの日本で教えられて育って来た俺には……








 わしの名はガンジ・ドルム。ハイ・ゴーレム制作者にして研究者だった一族の最後の人間じゃ。

 わしの妻が子をなせない身体だからと言うのはいい訳であろう。それが一番大事なら、妻と別れて他に妻を娶れば良かったのだから。


「フン……我ながら女々しい事じゃ」


 最後の人間として一族の目標であり宝だった古代に造られた第一世代型のこのハイ・ゴーレムを守り通してきた。多くの人にその偉大さを見てもらえるように博物館に入れたとしても……じゃ。


 若いうちに早々にこのハイ・ゴーレムと同じものを作るのは無理じゃ、とあきらめたわしが最後の守り手となろうとはな……


『――おい、じいさん。これが古代のハイ・ゴーレムか? ふん、見たところ他の第1世代型と変わらんようだが?』

「ふん。おぬしのように博物館の入り方もわからん学のない輩がみたところで、わからんじゃろう」


 博物館は半壊させた、第二世代型のハイ・ゴーレムが崩れた所から入ってきた時にわしのハラは決まった。

 そう。こいつを守って死ぬと。決して守れないとわかっていても。


『ふっ。言ってくれるな。まあ、安心しろ。俺たちは街の人間は皆殺しにしろと命令を受けている。寂しくないように後から大量に送ってやるさ!!』


 その言葉に、妻の顔と名前すら覚えていない妻が始めた孤児院のガキ共が脳裏をよぎった。

 その姿に詫びを入れつつ、わしは振り下ろされたハイ・ゴーレムの剣を――


 ――そう受け止める音を聞いたのだ。


『なん――』

「――じゃと!?」


 あり得ないはずだった。なぜかこのハイ・ゴーレムは誰が触っても起動すらしなかった。それが左腕を動かし、盾を使ってわしを救ってくれた。

 どうやら専用機登録とやらがされているらしく、登録された人間しか起動が出来ないらしかった。そして、これが造られたのは500年前……そう、二度と動くことは無かったのだ。


 ――この時までは。


「――『遠隔思考操作』……開始!!」


 その青のハイ・ゴーレムに向けて手をかざしている青年は、つい最近、こいつを見て見ているこっちが驚くほどに驚愕していた確か――


「センイチ・クサカベとか言う小僧……は!?」


 こいつの登録者にして制作者の名は「セイチ」……小僧の名とよく似ている……そんなバカなと言う思いと、こいつを動かせるのならと言う確信が胸をせめぎ合った。


『なんだ、キサマ!?』

「さあね! よそ見してる暇は無いだろ! 『ギガ・スラッシュ』!!」


 バチバチバチバチ!! すさまじい光の粒子を噴き上げ、今まで動かなかった腕を今まで見たどのハイ・ゴーレムよりスムーズかつ、力強く振り上げて、手に持ったその光る剣の一撃で第2世代型の左脚と左腕を切り裂いた。


 こっちに倒れ込むその機体を蹴って外へ放り出すと、青の機体は今ようやく完全に目覚めたかのように、機体のあっちこっちからすさまじい白い煙と炎の様に揺らめくオレンジと赤の粒子を放出した。


 ――本当に目覚めおった。制作者の頭を疑うくらい第1世代型には高価過ぎる赤龍のコアが出力を全開にし、青の機体を目覚めさせおった……

 その両目のメインカメラは赤く光り、こちらを見下ろすのをわしは恐怖を感じた。動かなければ芸術品だったそれは、動けば今見たように世代の壁を簡単に打ち壊す化け物なのだから。


 だが、そいつは片膝をつきまるで騎士のようにこちらへと手を差し出した。片方を小僧に……いや小僧では無い。ハイ・ゴーレム制作者にとっては神とも悪魔とも言える存在……


「セイチ様……」

「嫌ですね、ボケちゃったんですか? 俺の名は千一ですよ」


 そう言って頬をかきながら笑うと、


「すいません。こいつ借ります。皆殺しにするとか言っている奴らを放っておくなんて俺には出来ないですから……!」


 その初めて会ったときとは、どうやっても同一人物とは思えないほどの強い意志を全身から立ち上らせて、奴は言った。

 そう、その姿はまごうこと無き英雄。英雄譚の始まりじゃった。




 後一話で終わらせるようにします。何気にロボオンはじめての別の人視点ですか……違和感無ければよろしいのですけど。え、コラムダさんとアイリス? 彼女らは勝手に動き出すので私に責任はありません!(笑)


 お気に入り登録、感想、評価ありがとうございます。また、お待ちしております。


 さすがに次回は明日にさせていただきたいなー……と思いつつ、読んでいただきありがとうございました。


 それでは次回で。

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