第51話 ハイ・ゴーレム作製計画 中編
さて『鎧の鉄蜘蛛』と言うのは、もちろんあのユニーク・モンスターである。問題なのはそのカードが五枚あると言うことだろう。
――まあ、別にあれから種が割れたり、兄弟弟子の死を持って伝説の戦士に覚醒したり、多くの仲間の死を超えて俺が時を止めたり……なんてことを経て、無双したと言うわけじゃない。
単純に、奴が倒れた後に残ったものが……この五枚のカードだったのだ。
きっとユニーク・モンスターは、五枚のカードを落とすのだ。あの強さなら当然と言えば当然かもしれない。
ロボゲー・オンラインではパーティーを組む時、最大五人編成らしいのでそのことを加味しての五枚と言う報酬なのかもしれない。
――まあ、ちょっと多いと言う思いと、当然と言う相反する思いが渦巻いている胸中は複雑だ。
後一体狩れば、ユニーク・モンスターの素材による完全武装も夢じゃない……と考えれば、ちょっと報酬は多い気もするし。
一撃で剣と楯を粉砕され、一気にHPを四十パーセント以下まで減らされたのだ。きっと盾と剣を犠牲にしなかったら、一撃死もあり得たかもしれない……と考えると報酬としては妥当と言う気もする。
まあ、胸中は複雑だが、結果として五枚のカードが手に入った。その時思ったのだ。ハイ・ゴーレムの素材集めとしてこの敵こそが相応しいと。
まだ解体して見ないとわからないが、あの鎧部分は金属として使えそうだし、鉄を吐きだしていると見せかけて硬質化する糸を吐きだしていたんだから糸の素材も出るはず……
つまり、フレーム、装甲、人工筋肉、コクピットの四つのパーツを造るのに最適な相手だと思ったのだ。
問題――と言うか一番の大問題が、あの強さなわけだが……それもアイリスの頑張りのおかげで最初の難関である一体目は既に倒してある。五枚のカードで、剣と盾さえ造れれば、格段に戦闘は楽になるはず。
――いや、出来るなら四枚で何とか造りたい。最後の一枚はアイリスにインストールして、あのステルス性能を何とかしたい。あのキノコの森にどのくらいいるのか、リスポーン時間はどのくらいなのかわからないので、今この時の計算は机上の計算にすらなっていないのだが。
「――よし。解体のレベルは申し分ないくらいに上げれたと思うし、このレアカードたちを解体しようか!」
「イエス! マイ・マスター!」
……イエスの部分くらいしか名残が残っていない……だと? いや、いつも以上のはきはきした返事は好感が持てるんですけど……どうなんだ? 少なくとも、元ネタを知っているであろうコラムダさんと香坂あたりにはすげえからかわれそうではある。
まあ……それくらいの被害なら、アイリスの好きにさせてもいいかな? 子供がアニメのキャラクター真似するなんて言うのは一種の通過儀礼の様なものだし。
親ってこんなこと考えてんのかなーと思いつつ、さっき考えた通り四枚のカードをいっぺんに解体する。
出てきたのは……『鎧の鉄蜘蛛の外殻。ランクB。無属性』が十一枚。『鎧の鉄蜘蛛の糸。ランクB。無属性』が七枚。『鎧の鉄蜘蛛の刃。ランクB。無属性』が二枚。
よっしゃあああああああああああああああああああ!!
机上の妄想が、机上の空論くらいにはランクアップしたんじゃないか? くらいの成果である。そこにどれほどの差があるのかは分からないけども。
しかしモンスター・カードには二つも属性がついていたにもかかわらず、素材のどれにも属性が付いていないのはどう言うことなんだろうか? 単純にそう言うモンスターと言うだけかな。属性付きの攻撃してこなかったし。
「アイリス、造れる装備はどうなってる?」
「はい。糸でシャツとズボンが。外殻で、頭部、胴体、腕、足装備が。刃と外殻で、一通りの武器が造れるようです」
「よしっ!」
まずは服からかなー……さっきまでの裁縫のミニゲームの感覚が抜けきらないうちにやってしまおう……
なんと。一通りの装備が出来てしまいました。
鉄蜘蛛のシャツ、ズボンは共に糸が三つずつ必要だった。
鉄蜘蛛の軽鎧には外殻が三つに糸が一つ。鉄蜘蛛の鉢金には外殻と糸が一つずつ。鉄蜘蛛の軽籠手には外殻が二つ。鉄蜘蛛のすね当て(ブーツ付き)には外殻が二つ。
選択した色が青とか鉛色だったのと、元からそう言うデザインだったので忍者っぽい姿だ。いやだってばよな忍者たちよりは日本の忍者っぽいが。
鉄蜘蛛の小盾と剣は、両方とも刃と外殻が一つずつ必要だった。これでちょうど刃と外殻はゼロになった。
……ラムダさん辺りが気を利かしてくれたとしか思えない絶妙な量である。まあ、そう言うことはしないと言っていたし、俺のリアルラックと言うことにしておこう。
属性の加護は全部火の加護(弱)付いた。残念なのはシャツとズボンが、Bランクの素材を使ったのにCランクになってしまったことだろう。
――まあ、他の装備は初めてのBランクになったんですがね! ここはドヤ顔でも誰にも責められない気がする!
「うん……凄い強くなった気がするな」
「はい! 素敵ですマスター!」
「アイリスもどうだ? 俺の装備に比例してアイリスの装備も強くなるんだから、結構強くなったか?」
「はい……三倍以上の性能はあると思います」
そんなにか……恐るべきはユニーク・モンスター装備と言う奴か。
問題なのは――ただ一つ!
「装備スキルlvが27だと言うことですね……マイ・ルーム内なら装備が可能なんですけど、外に出たら装備不可になってしまい、直前まで装備していた装備に強制的に戻されてしまいます」
「うわーんっっ!!!」
俺は鉄の重装備(地の加護弱付き)を装備し、鉄の小槌(修復アイテム)とポーションを大量に持って外へ飛び出した。
モンスターにリンチしてもらうために……! そしてお返しとばかりに剣でぶったおすために……!
机上の空論の怖いところはマイナス方面の考えを無意識に除外してしまうところにあります。水の加護付きにしておけば、装備できたりできなかったり?
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それでは次回で。




