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第45話 きのこの森。断じて山ではない

コラムダ「や、やってしまいました……」

???「案ずることはない一握りの灰さえあれば闇部長はまた羽ばたくのだ」

コラムダ「誰!? っていうかク〇ス扱い!?」


 ――うん、怖い。

 何と言う巨大なクモ。キチキチキチキチ――と口元のリアルかつ不気味な動きにマジな生理的嫌悪を覚えざるを得ない。


 野良ウルフと同程度の強さとはいえ、これはゲームと割り切れる人じゃないと厳しいなー……


「……怖い……いえ、これがキモい?」


 頭のアイリスがキモいと言う感情を覚えた!

 その成長は嬉しく思うが……出来ればもうちょっと後で目覚めてほしかったな。俺は後方支援に徹しよう作戦は中止するしかない。


「アイリス。他に敵の反応は無いよな?」

「……はい。近くにはありません」

「じゃあ、いつも通り俺は右、アイリスは左からの挟み撃ちで行くぞ……データのインストールはおろか初手合わせの相手だ。油断せずに行こう」

「はい。グ○をなめたア○ロの二の舞は踏みません!」

「さすがにザ○の20パーセント増しと簡単に考えたのはいただけないよな……パイロットはエースだし」


 そんな無駄口をたたきながら、俺が右を向くと頭の重さが消えてポンと幼女姿のアイリスが俺とは逆方向から野良クモの横へ回り込む!

 それが敵対行動と取られたのか、クモはターゲットを補足したかのように動き出した……狙いは……俺か!


 木――ではなく、巨大なきのこたちを次々に盾代わりにしてクモに近づき――ビュッと何かが……て、糸か!?

 俺はあえて躱さずに、左手の盾で受け止める。と。やっぱり粘着性で相手の動きを止めるタイプの攻撃か!


 こちらを逃がさないように糸を引っ張り続けるクモ。踏ん張る俺。そして――


「やああああああああああああああ!!」


 その無防備な背後から剣を振り下ろすアイリス!


「ギィ!?」


 アイリスの七度目の斬撃でクモは消滅し、カードが遺された。


「うーん……野良ウルフと同じくらいの回数の攻撃で倒せたけど……正直野良ウルフより弱いよな?」

「はい。動きが速くありませんし、糸を使った戦法もあまりよろしくありません。ヤ○ンのクモの巣くらいの工夫が欲しい所です」


 ――すでにZも見終わったアイリスに隙など無かった……いいことかどうかは別として。

『野良クモ。lv6.ランクD。無属性』のカードを回収し、アイリスにインストールする。


「お、ここら辺は情報通り野良クモばっかりだな」

「はい。ここより右側から廻って行けば各個撃破が狙えます」


 煙と粒子のサーチの中に野良クモのふきだしが新たに生まれた。既に黄色(自分と同lv程度)の相手はおらず全部格下の白ばかりだ。

 ――だが、相手の動きを少なからず束縛する糸の攻撃は、一体だけなら数の多さを利用できるこっちが逆に有利になるが、相手いする数が増えれば増えるほど野良ウルフより厄介になる。


 油断せずに俺たちは野良クモを一体ずつ釣ったり、その場で速攻で倒したりして各個撃破していった。




 さて。三十体ほど倒した後、周りに敵がいない場所で俺は武器の手入れを行うことにした。

 鉄の剣は23/50くらいに耐久値が減っていた。防具の方は糸を防ぐために浸かった盾がそのくらいに耐久値が減っていたのでこちらも直すことにする。


「修復開始」


 鉄の修理の小槌が手元に現れ、俺は剣の大きく光り始めたポイントに向けてカンカンと何度も振り下ろす。そうすると光が弱まっていき……他の光もそんな感じで完全に消すと、耐久値は完全に回復した。


 次いで盾も同じように修復する。一度完全に耐久値を零にしたら、ぶっ壊れたのは本当に驚いたな。修復には小槌の他にその武器や防具を造った時の素材が必要になった。

 剣と楯を完全に修復した後、鉄の小槌に視線を向ける。鉄の小槌は34/50まで耐久値が減っていた。修復アイテムには耐久値があるようで、その耐久値の回復には完全に壊れた武器や防具と同じように製造した時の素材が必要になる。


 これも生産系スキルに分類され今の俺は20lv程度だ。鍛冶とかと比べて低いのは、わざわざ敵の攻撃を受けまくったりして防具の耐久値を減らして……と言うことをやる時間がもったいなかったからである。


 ちなみに俺の武器や防具を受け取った人たちは、たまに俺を見かけると修復を頼んでくるようになった。店での修復は割高だし、自分達だとスキルlvが足りなくて中途半端な感じになるから……とのこと。それでも俺を見かけない場合は自分達でやるしかないとぼやいていた。うーん、このワールドまだ人が少ないからか露店を出す人もいないからな―……最序盤だから売るものが無いだけかも知れんが。


 VRMMOには依然言った強制ログアウトがあるため、二十四時間連続でとかできないから、結構ゲームとしての進みはゆっくりになる傾向なのだとか。

 まあ、暇な大学生の俺がほぼ毎日十数時間やっているのに、始まりの遺跡から遠く離れない場所で狩りをしているんだもんな……VRMMOに慣れている人が多く集まっている第一世界『モガミ ミナの世界』でもようやくハイ・ゴーレムを手に入れて遠出するようになった所らしい。


 いいなー……俺も早くハイ・ゴーレムが欲しいなー……

 そんなことを思いながら、糸を手に入れるためにさらに野良クモを倒して行った。

 ――そう、クモには油断しなかったが時間に油断していたと言える。


「あ、しまった……」


 かなりのきのこの高さと横幅と数が多い日の光があまりささない場所に来てしまい、夕方になっていたのを見逃してしまったのだ。

 そう……俺とアイリスは初めてロボオンの夜のフィールドで戦うことになってしまったのである……




 はい、何とか復活できました。俺を復活させてくれたあのお釈迦様のような人は誰だったんだろう?(笑)


 お気に入り登録、感想、評価ありがとうございます。またお待ちしております。


 実は新シリーズ『神技の無能者』を始めました。え? これ本当に同一人物がかいたの? 的なロボオンとは違った風味の王道ファンタジー? なおはなしですので、気になった方は上の『小説情報』から飛んで読んでみていただけたら嬉しいです。


 それでは次回で。

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