第42話 別に売ってしまっても構わんのだろう?
夕方になって香坂がログインして俺へのマイルームへの入場を申請してきたので、許可を出した。
俺は部屋に入ってきた香坂に背を向けたまま香坂を迎えた。香坂は部屋の状態と言うか惨状を見てぽかーんとしているようだった。
「……なにこれ?」
「別に倒してしまってもかまわんのだろう?」
「へ?」
「ついてこられるか?」
「……いや、どっかの弓兵ごっこはいいから」
そう。俺の部屋は無数の剣が乱立している状態なのだった。スキルlv上げに造った剣があまりにあまりまくっていたので、部屋の床に刺しまくっていたら香坂がやってきたのでちょっとやってみたのである。
出来るなら赤い外套が欲しかったが裁縫しようにも材料が――まあ、それは置いといて。
アイリスに頼んで部屋の剣は全てアイテム倉庫に収納した。ああ、また部屋の内装がさびしく……いや剣があちこちに突き立っているのはネタが分かる人には良いが、わからない人には狂人の部屋その物だからな……しょうがない。
その後、アイリスに香坂を紹介した。アイリスは最初は恥ずかしいのか警戒しているのか俺のズボンに捕まったままだったが、香坂がロボオンのイベント関係者と言うことや、アニメの声優(新人)と言うことで興味がわいたのか二人で話すようになった。
俺はその間に作った剣をNPCがやっている店に売りに行った。マイルームから出たら十人ほどだが、プレイヤーがいた。やったね香坂! 人が増えたよ!
人が増えたのもそうなのだが……俺は別のことに驚いていた。彼らにつき従っている精霊AIは何と動物だったのである。
犬、猫、鳥。もしかして、パイロットを選ぶと精霊AIは動物になるのだろうか? 動物アバターの問題は人間だけの問題なので、AIが操る分には何の問題も無いのだろうが……
さすがに彼らに聞こうと思わず、俺は移動ポータルである柱の一つに触れて始まりの遺跡の地下一階の町に来ていた。
「へー……地下都市って感じだな」
壁、床、天上全てが一階の始まりの遺跡と同じ材質らしく淡く光っているため暗い感じは無い。
移動ポータルにまた触れ、商店街をクリック。瞬間移動の大盤振る舞いに、妙な気分を味わいながら、目の前の道具屋に入り、倉庫のほとんどのアイテムを売り払った。
ランクがDとBで売却価格に二倍近くの差が出たのに驚いた。性能も二倍くらい違うんだろうか? いや、そこまでは無いだろうけど……
一応、ランクBのクズ鉄の剣数本、ランクCの鉄の剣数本は取ってある。無属性、属性付与別に使いやすさなどを確認するために――いや、確認はしたけどゲームとは言え仮想世界じゃ感覚的にしかわからないし、時間が経てば覚えている感覚はズレていくから再度の確認のために取って置くことにした。ちなみに鎧、籠手、具足、兜もそんな感じでとってある。
鎧や籠手なんかは作る時、クズ鉄と鉄のそれぞれで二種類のレシピが解放されていた。簡単に言えばプレートアーマーとフルプレートアーマーな感じで、動きやすいが防御能力が少なめなのと動きづらいが防御能力が高めなのの二種類だ。防御より回避が好きなので、全部前者の方で作った。
今の俺の装備は鉄の軽鎧、鉄のバンダナ、鉄のグローブ、鉄のすね当てと言う感じになっている。ちなみにジャージの上にである。どうやら鎧の下にも服系統は装備できるみたいなので、さらなる防御力アップも可能みたいだ。
何の属性付与も付いていないのは、鉄の装備系は装備適性lvが防御スキルlv10と言う俺のスキルlvギリギリだったからだ。ちなみに防御スキルlvは防具を装備してスタミナを消費する行動をとったり、戦闘したり、攻撃を受けたりすることで上がるようだ。いつの間にか上がっていてびっくりした。
金が一万を超えたので色々店の物を見ようかと思ったが、そこはアイリスたちを連れてきてからで良いかと思いなおして、NPCのAIに別れを告げて俺はマイルームに戻った。
マイルームに戻ったら、二人が剣を持って戦っていた。うん、落ち着いているのは二人が「わかるか? ここに誘い込んだわけを!」だの「精霊AIでも身体を使うことは普通の人と同じだと思ったからだ!」とか言っていたからだ。
どうでも良いけど香坂さん。あなたヘルメットも仮面も付けていないとこのまま頭部貫かれて死んじゃいますよ? それを注意すると死亡フラグが立って刻が見えちゃいそうだからやめておくが。大佐ノーマルスーツを以下略。
……と言うか、アイリス。そのネタが出来るってことは丸一日で全話見たってことか……コラムダェ……
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この後、二人にレイピアをねだられたり……現実じゃ危なくてできないことも仮想世界、しかも攻撃が効かないマイルームなら大丈夫ということで。
それでは次回もよろしくお願いします。




