第41話 はじめての生産。後編
久々のボイスコマンドを唱える。
「鍛冶開始」
目の前に光り輝くハンマーが現れ、それを掴むと実体化した。飾り気の全くないハンマーだった。生産系の装備を見た時にあった初心者用のハンマーだろう。
後現れたのは『金床』か……
そこに手をかざすとウィンドウが現れた。短剣、剣、斧……造れる装備の一覧の様だ。目的の剣、胴装備、腕装備、足装備、頭装備を確認後、剣をダブルクリックした。
クズ鉄の剣。鉄の剣。
……うん、まあ、わかってましたけどね。シンプルすぎやしないだろうか? 序盤ならこんな物……と納得しておこう。ちなみにその二つ以外は????となっていた。単に素材不足かスキルlv不足か……
それにしても炉が無いのに本当に出来るんだろうか? 鍛冶って言うのは炉で鉄を溶かして、ハンマーで打って形を整え、また炉に入れ、水に入れて焼き入れ……流派とか日本と外国でまた違うのだろうが、素人の俺でも炉が必要なのはわかる。
そう言えば香坂の部屋には立派な炉があったなー……設備なんだろうが、設備の新築や増築にはコアがいくつも必要らしいので今の俺には余裕が無い。
まあ炉が無くてもこれらが選択可能なんだから、普通にできちゃうんだろう。剣と魔法の世界に現実の話を持って来るのカッコワルイと言われそうなので柔軟にスルーしておくことにしよう。
「さて、アイリスは……手伝ってくれるんだな」
「はい!」
ブンブン振ってるのは俺と同じ形のハンマーだがものすごく小さい……と言うよりアイリスは手のひらサイズになっていた。この姿のまま手伝ってくれるんだろうか?
とにもかくにも一度やってみるか。別に材料は山ほどあるわけだしな。鉄は百、クズ鉄は二百以上ある。
もちろんスキルlvが低いのでレアな鉄系は後回しである。
クズ鉄の剣をダブルクリック。消費クズ鉄は二つ……意外と少ない。百本も出来るぞ。百回の鍛冶でどこまでスキルlvを伸ばせるか……
クズ鉄はCランクとBランクがあるので、Cランクの方を選択した。
「じゃ、やろうか」
「はい。何とかうまくやって見せます」
「いや、最初の一回はどんな感じなのか探り探りやって行こう」
「なるほど。これが「こう言う時、慌てた方の負けなのよね」ってことですね」
「……うん。俺も大好きな名言だよ」
内心複雑な俺の心境……誰かわかってくれるだろうか? 大事な一人娘が、自分の好きな趣味の話ができるようになってうれしいけど、世間的にはあまりほめられたことでは無くて……いや、わかってますよ? アイリスは俺の娘じゃないし、ロボオンの精霊AI何だから、むしろロボットなどのアニメを見ておくのはプラスだろうと言うことは。
でもなー……アイリスがアレになってしまうかと思うと……いや、別にコラムダさんが悪いと言うわけじゃ……ただ、あの枠はコラムダさんでお腹いっぱいと言うか……
アイリスの生真面目な芯の強さを信じるしかないか。それに世間的にどうか知らないが、アニオタだからと言って社会不適合者と言うわけじゃないし。
香坂も悩んでいたが、世間的に未だアニメは子供が見るもの、大人が見ているのは恥ずかしい……なんて固定概念が日本にはあるんだよなー……ここら辺はアメリカとか他の国の方が寛容だ。黒の騎○団でも創って、革命するしかないだろうか?
「よし……やるぞ」
いろんなことを後回しにして、俺は鍛冶を開始した。
金床にポポンと二つの鉄の塊が置かれて……ビーッ! と言う音とともにそれは開始された。
見えたのは動かない白い光、動き回る赤と黄色と緑色の光。そしてさらにその周りに無数に浮かぶ光たち。
これを打て……ってことなんだよな? RPGなどで良くあるミニゲームの様だ。高いポイントを取ると高性能の武器が生まれると言う奴だ。
狙いやすいのは白だ。動かず大きい。次に狙いやすいのは赤と黄色だ。緑は……絶対無理な速度で動いている。動きを先読みしても、なれないハンマーの振り下ろしじゃ絶対とらえられない速度だ。
狙うなら、赤と黄色だな。ゲーマーの直感が告げている。狙いやすい白を狙っても良い武器は造れないと。そして、緑を狙って外したらさらにそれ以下の武器が生まれると。緑を狙えるのは人類の革新な人達くらいなもんだろう。それほど速い。
「……赤を狙ってみよう。アイリスの方も赤を狙えるか?」
「はい! 頑張ります!」
よしっ……俺はハンマーを振り上げ、動く赤目掛けて打ちおろす! ガキィン! と言う甲高い音とともに腕がしびれる感覚。これ、現実だったら相当な痛みも伴ったな……
そして一回目を打ったとともに、視界に赤いゲージが生まれた。これは……タイムリミットか!? 慌ててハンマーをまた振り上げる。そのタイミングでアイリスが小さい赤い光に見事ハンマーを打ち当てた。
アイリスが引く。俺が打つ。俺がハンマーを持ち上げる。アイリスが打つ……この繰り返しであっという間にタイムリミットだ。
初めてにしてはうまく出来たと思う。失敗を恐れて、あまりハンマーを打ちこめなかったけど……人、それをうまく出来なかったという……どこかの天空○心拳の使い手が心の中で突っ込んで行ったけど気にしないぞー……ぐっすん。
だが、一応目的のものは出来た。うん……鉄の剣……だな。柄もないが。初心者の剣よりひどい。さすがクズ鉄の剣。つばぜり合いが出来ないから一瞬の油断で指が落ちるぞこれ……
メニューを開いて、その能力を見る。威力とかは出ないから実際に使わないと……ああ、アイリスに聞けばどっちの方が威力が高いかはわかるんだっけ。
『クズ鉄の剣。ランクD。lv5(+3)。耐久値50/50。火の加護(弱)付き』
……耐久値? ああ、初心者の剣やジャージは初期装備だから耐久値が無いんだ。下手すれば詰んじゃうからな……
問題は(+3)と火の加護と言う奴か。
「アイリスはコレの効果がどういうことかわかるか?」
「ちょっと待ってください……はい、たった今条件がクリア―されたことで情報が開示されたみたいです」
「へー……そう言うこともあるんだ」
アイリスの説明では、やはり赤い光を打ち続けたから火の加護がついたとのこと。その火の加護のおかげで攻撃力は上がったが装備適性スキルlvも+3されて合計で8になってしまったんだとか。
加護はやはり属性の数だけあるらしく、火の反属性の水は装備適正スキルlvが下がる代わりに攻撃力や防御力の性能に若干の-補正。
土属性は耐久値と防御力が上がる代わりに重くなるらしい。
風属性は耐久値と防御力が下がる代わりに軽くなるらしい。
これらのマイナス補正は装備者のスキルlvが上がれば軽くなるようで、もちろん生産者のスキルlvが上がれば装備品自体のマイナス補正を極力減らすことも出来るらしい。
さらに高ランクの加護をつければスキルが付いたりもするらしいが……夢のまた夢って感じかな。
しかし、コラムダさんが言っていた魔法が重要と言うのは今回のことでさらに身にしみた。
緑の光が他の光より極端に早く動き回ったのは俺の風魔法スキルlvが他の二つに比べて低かったからだ。そしてまだ覚えていない水魔法――水色の光は現れてすらいない。
つまり魔法は戦闘に使え、索敵に使え、生産にも使うと言うこと。
……全部の属性を上げるのは効率が悪い……ロボットを一人で造ろうとしている時点で効率が悪いので、それ以上の効率の悪さは正直いただけない……
俺の予想だが、この属性付与はハイ・ゴーレムにも使う気がする。二つくらいに絞って鍛えるべきだろう。
今はまだ深く考えないで良いだろう。最序盤だからスキルlvも上がりやすいし。
だが、イメージはしておこう。どの属性を上げてどんなハイ・ゴーレムを生み出すのかを。
バカな通常の投稿ペースの三倍だと!? や、やつだ……赤い彗星の〇ャアが来たんだ……逃げろ―!
……はい、すいません。パオロ艦長が意外に好きな作者です。ギレンの野望をやらない限り、覚えている人はいないんじゃないかと言うあの方……ジ・オリジンだと活躍の場が増えてるんですけど。
投稿ペースが初期のころに戻ったのはここら辺は当初の予定にあった部分だからです。コラムダさんが全ての原因なんです……奴は作者の予定の上をいってしまうので。
ここまではほぼリアルタイムな感じで進みましたが、一気に時間が進んだり、一気に日にちが経ったりします。ロボオンの世界でほぼ24時間を皆様にお届けしましたが、好きなキャラの一人くらいはできていただけたでしょうか? 主人公が好きと言ってくれた方、コラムダさんが好きだと言ってくれた方、感謝しております。
なんかあと数話で終わりそうな感じになってしまいましたが、そんなことにはならないと思います。まだ登場キャラクターが三人いますし。
ただ重要な説明回はほとんど終えたと思うので、終わりに向けて加速したいとは思っていますが。
それでは次回で。




