表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/108

第21話 メイド襲来

 マイルームを出た。

 そして――俺達はありえないモノと遭遇したんだ。

 一体……何だと言うんだ……アレは。


 ロボオンの世界は現実時間で八時間で一日が終わるサイクルとなっている。昼間が五時間、夕方が一時間、夜が二時間と言う分配になっている。深夜ゼロ時から朝五時までが昼、五時から六時までが夕方、六時から八時までが夜になっている。そしてまた、八時から十三時まで昼――というサイクルが続く。


 夜の九時ちょっとすぎにログインした時、既にここは夕方になっていたと言うわけだ。説明書を読む前だったので、外に映る景色が草原だったのを確認して直ぐマイルームに向かってしまって、夕日を見なかったのがちょっと残念だった。


 そして、マイルームでアイリスが生まれて色々やっているうちに現実時間で夜の十一時過ぎになっていた。

 だから、この『始まりの遺跡』についた時、満天の星空が世界を支配していたとしても、その美しさに胸をうたれたとしても驚愕するほどでも無かった。


 ――そう、そいつは、ここに居てはナラナイ存在だった。


「なぜ、なぜ、キサマがここに――!」

「フ、フハハ……」

「ここに居るんだぁああああああああああ!!」

「フゥーハーハッハッハッハッハッハッハ!」


 俺とそいつの視線が交錯する。一方には焦り、一方には余裕があった。もちろん……余裕などが無いのは俺の方だ。

 冷や汗が出る。ここには他にプレイヤーなどはいない。だが――俺の後ろにはアイリスがいる。戦るしか……殺るしかないんだっ!


 俺は初心者の剣を青眼に構える。踏み込み、一撃で頭を叩き斬るしかないっ!


「……あの、マスター?」

「下がるんだ、アイリス! あいつは、あいつだけは! 俺がこの手で――」

「できますか? いいえ、無理ですね! この天然PS装甲と呼ばれる私のきめ細やかな肌を傷つけることなど、無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄武者頑駄無駄!」

「直撃、必中、熱血、魂ぃ! ウォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

「熱血が余分なんですよぉおおおおおおおおおおおおおお!!」


 俺たちの魂の叫びが、巨大な遺跡内部に余すことなく響き渡る。

 俺の剣と、奴の竹ぼうきが激突――する瞬間――


「あの、マスターと姉さま。何をしてるんですか?」


 呆れたような幼女の冷静な指摘が、俺たちのわけのわからないテンションを急激に冷ましていったのだった……




 そう、ありえない存在とは、コラムダさんミニスカメイドバージョン竹ぼうき装備仕様である。ふわふわの緑髪を、ポニーテールにしている。ゲームの限定盤特典の様な恰好のコラムダさんである。


「……て言うか、なんでここにいるんですかコラムダさん。あなたは確か、一生チュートリアルエリアで過ごす筈じゃ?」

「あれれー? セイチ様の中で、私が受けた罰がすさまじい高ランクアップしちゃってません?」

「あなたが間違っているのか、世界が間違っているのか……じゃんけんで決めましょうよ」

「自分の意見を世界の声と言い切った挙句、私が一生チュートリアルエリアに閉じ込めるかどうかをじゃんけんで決めようとしましたか!?」

「ハンデをください。コラムダさんが百回勝つまでに俺が一回勝ったら俺が勝利と言うことで」

「遊び王さえ、絶対断りそうなゲームキタァアアアアア! ……って、無理に決まってるじゃないですか! うわーん、妹ちゃーん! あなたのマスターが苛めるー」

「コラコラ! うちのアイリスに触るんじゃありません!」

「セイチ様のロリコーン! ロリに魂と書いてロリコン!」

「誰がロリコンか! ……まあ、年上はもうお腹いっぱいだから、同い年か年下の女の子の方が好みですが」

「あ、私、セイチ様と比べたらものすごい年下ですよ。生後五年くらいですよ」

「ほーら、アイリスー。こっちにおいでー」

「華麗にスルーされた!?」


 俺に言われて俺の足元に歩いてきたアイリスは、俺の足に抱きついてきた。そして、微妙に不機嫌そうな顔でコラムダさんを睨んだ。


「姉さま、何で私のマスターとそんなに仲が良いんですか?」


 そう問うた。

 コラムダさんは妹のその視線と質問に冷や汗をダラダラ流し、


「ま、まさか、生まれて五年で、妹に嫉妬の視線を貰うことになろうとは……」

「何を言ってるんですか……」

「うわーん! そもそも出会って二時間も経たないうちに、何でそんな好感度MAX状態になってるんですか! セイチ様のスケコマシー!」


 人聞きが悪すぎる! 正確に言えばこの場に人間は俺一人しかいないけど!

 しかし、何だな……普通は、自分の姉とさっき出会ったばかりの俺が仲良くしていたら、普通は俺に嫉妬するんだろうけど……そこはゲーム内とはいえ、初めてマスターとなった相手に心を許してくれているのかな。生真面目なタイプだしなー。


 俺は別に子供に好かれるのが嫌じゃないので、アイリスの頭をなでてやる。そして、一応、妹に睨まれているコラムダさんの顔も立ててやることにした。


「なあ、アイリス。もう、多分、きっと……お前の姉には二度と会えなくなっちゃうんだ。少しぐらい甘えてきてやれ」

「…………」

「あのぉ……聞こえてますからね。聞こえていてあえて突っ込まないだけなんですからね?」


 アイリスはジド目で俺を睨む姉と、苦笑する俺を交互に見た後、俺の脚から離れて姉の元へ向かった。

 かがむコラムダさんの首に抱きつくアイリスと、その身体を抱きしめるコラムダさん。これを見て、データ同士が気持ち悪いとか言う奴がいたら、例え相手が大統領だとしても、ぶん殴れる自信が俺にはあった。







 はい、ボケも突っ込みもできない妹のために姉、参上! てな訳で、一時的に彼女の復活です。


 別に我慢できずに登場させたわけじゃなく、アイリスを成長させるために必要なイケニ……ごほん、ごほん! まあ、そんなわけで、これでアイリスもマスターを楽しませるのに必要なことを学ぼうと思うきっかけになるわけですね。オタク知識と言う名のもろ刃の剣を……


 コラムダさんが、何で復活フラグが立ったにもかかわらずこんなに早く登場したのかは次回、彼女自身の口から語られると思います。ええ、どうせいつも通りくだらない理由ですね。


 お気に入り登録、感想、評価、ありがとうございます。いつも感想は楽しく読ませていただき、また励みにさせていただいております。いや、どこかでかぶるとは思っていましたがアイリス……サ〇ラ〇戦にいましたね。


 かるくググった時は、X4のヒロイン(ちなみにプレイ済み)としか被らなかったのでそのまま使ったんですが……ええい、迂闊な奴め! まあ、被っていたとしても採用したので問題なし! ということで。


 ちなみに、ディ〇ってるコラムダさんのセリフにはお遊びを入れてあります。読める人はどのくらいいるんだろうか……?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ