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第19話 例え総帥にノミと言われても地上に住みたい

 俺とアイリスは部屋の中央まで歩き、火属性の魔法を覚えるための簡単な儀式をすることになった。とは言っても、アイリスと向かい合うだけで俺はすることがないみたいだけど。


 俺はバスケットボールくらいの大きさのコアをアイリスに渡しながら、気になっていた事を聞く。


「しかし初期属性が地属性とか、完全なランダムなのか?」


 レッドスライムから手に入れたレアアイテム――アイテム名『火のコア・ランクD』を使って火の初期魔法を覚える前に俺はアイリスに聞いてみた。

 本来なら、精霊AI――アイリスが俺の所に来たのも偶然? と聞きたかったのだが、生真面目なアイリスにとってその質問は傷つきかねないと思ったからやめておいた。姉神一号、二号と二十年間暮らしていればその程度の気遣いは出来るのだ。


 ……だから、香坂がある程度胸があるのに、胸の話題を振っただけで強烈な一撃が飛んでくるのを読めなかったのが意外だ。それとも女子に胸の話を振るのが、そもそものタブーなんだろうか? 女が多い家族に生まれると、そこらへんの機微がわからなくなるのかもしれないな……気をつけよう。


 胸の話は置いといて。

 アイリスは首をかしげた。


「えっと……チュートリアルクエストで、精霊AIの質問をされたと思うのですが……その質問から、条件に会った精霊AIの卵が渡されたはずなんですけど……」


 またか。また、コラムダさんか……

 俺はそんな質問された覚えは……いや、もしかして、あれか? デュラハン動かしている時に『男の子と、女の子。どっちが好きですか?』と言う質問から始まったどうでも良い世間話か? 


 そりゃあ、ホモと思われたくないので普通に女の子と答えて……属性の質問はもしかして『将来、空に住みたいですか? 大地に足をつけて住みたいですか? 砂漠に住みたいですか? 海にもぐって住みたいですか?』と言う質問か?


 お、おのれ、コラムダ……そんなの大地選ぶでしょうよぉおおおおおおおおお!! いや、別に地属性が嫌というわけじゃなく……ああ、まあ、いい。

 他にも記憶にすら残っていない質問の果てにアイリスが選ばれたと言うのなら、俺に文句はないし、言ってはならないと思う。


「そっかそっか、あれが渡す精霊AIの卵を決める質問だったのか。いや、ハイ・ゴーレムの操縦に夢中でよく覚えてなかったんだ。ごめんな」


 俺はそんな優しい嘘をつく。君の姉が、ダメのダメのダメダメだったから分からなかったんだ、テヘ! などと言うドギツイ真実は俺の胸の内にしまっておこう……


「そうですか。それでは、マスター。火の魔法を覚える儀式を始めます」

「うん、頼む」


 自分の頭より大きいコアをアイリスは頭上に掲げると、ふわふわと浮かんで火のコアは動き出した。俺とアイリスの中心に浮くと……


「おお……」


 赤い光の魔法陣がコアを中心に、部屋を縦横無尽に何個も展開されていき、部屋に華麗な火の粉が乱舞する。現実世界だったら火事間違いなしですね。

 そしていくつかの魔法陣が俺とアイリスにまとわりつき……視界一面を炎が埋め尽くした。


 ビビらない。幼児の前で、成人男性がビビらない……! 何度も何度も、自己暗示をかけたかいがあって悲鳴を漏らさずに済んだ。

 そして、炎が消えた後……何事も無かったように部屋は元の正常な風景を取り戻していた。


「終わり?」

「はい。無事に完了しました」


 アイリスの相変わらずの無表情の中に安堵らしき色があるのを確認する。失敗することは無くても、アイリスにとって初めてのことなら緊張したんだろうな。俺はアイリスに近づいて頭をなでてやる。


 アイリスが気持ちよさそうに目を細めるのを確認した後、ボイスコマンドでメニューを出し、空いている片手で操作する。

 アーツの横にマジックという欄が増えていた。アイリスの話じゃ、アイリスが生まれた時から地属性魔法を覚えていたらしいからその時からあったのだろう。


 そこを選ばず、まず、スキルを見ることにした。

 ……色々増えてるな。『歩行』がいつの間にかlv5になっていた。ほかにも、新しいスキル『走行』がlv5、『跳躍』がlv4、『格闘術』がlv3、『解体』がlv……5!? 一回しかやってないのに大幅なレベルアップだな……レアカードを分解したからだろうか? それに俺が生産者と言うこともあるのだろう。分解は生産系スキルの一つと言う話だったしな。


 他のも結構な上り様だが、これはチュートリアルクエストでデュラハンを動かした時に上がったのだろう。説明書を読んでわかったのだが、生身とハイ・ゴーレムには共有しているスキルがあるらしい。


 例えば生身で剣を振るって剣術lvをあげれるし、ハイ・ゴーレムで剣を振るっても剣術lvは上がるのだ。そして覚えたアーツも生身とハイ・ゴーレムで共有している。つまり、強レベルの剣士はハイ・ゴーレムでも剣を使えば強いと言うことになる。


 重要なのは……生産系にもそれは言えると言うことだ。人間用の剣や鎧を造って鍛冶レベルを上げれば、ハイ・ゴーレムの装甲やフレームを造る時にプラスになるのだ。

 装甲や、フレームには多くの鉱石などの素材を使うらしいので、今の俺達にはそれを造ってのレベル上げは現実的では無い。


 なので、今の目標はフィールドに出て、戦闘系などのスキルレベルも上げつつ、鉱石などの素材を取って、色々な生産系のスキルlvを上げることとなる。

 なにせ、ポーションなどの薬生成スキルもハイ・ゴーレムの魔力循環液を造る時のスキルらしいからなー……ほんと、一から十まで自分の手で作るとなると、ほとんどの生産系スキルのレベルを上げるしかない。


 いや……それは最初から覚悟していたことだ。気長にやって行こう。

 さて、後は覚えた魔法である。

 個人的には回復魔法が欲しい所だが、それは水属性っぽいよなー……それにVRMMOはいちいち宿屋に泊まらなくても、その場でじっとしてたり座ってたりしたら徐々にHP、MP共に回復するみたいだし。


 だったら、回避力や、防御力UPで十分代用が効く。ようはダメージを回復するか、あまり受けないようにするかの違いである。

 痛覚が半分とはいえあるので、むしろHPを大きく減らして回復するより、なるべく受けないようにする方が精神的疲労も少なくて済むだろう。


 ……いや、むしろ攻撃魔法で遠くから攻撃する方が良いのか? 一撃で倒せる威力ならば、相手に気づかれない位置取りにさえ気をつければ、これほど効率的なことはないのだが……


 そんなことを考えて、魔法系のスキルレベルを見る。

 火属性魔法lv……9!? 一気に9レベルって……あのコアのおかげだろうか? もしかして、結構レアだったんじゃないか? ……うーん。比べようにも比較対象もないしな―。


 地属性はlv10だった。初期属性だからこうなのだろうか?

 ともかく、使ってみて、どのくらいの頻度でレベルが上がるのか覚えないとなー。やっぱりレベルが上がるほど上がりづらくなるんだろうか?


 メニューからマジックを開く。このレベルで使える魔法は……地属性が二つに火属性が一つだった。lv10で一つ増える感じなんだろうか? 

 火属性の魔法は『ヒート・アップ』――瞬発力が一定時間上昇する。効果、効果時間はスキルレベル依存。


 地属性の魔法は『アース・アップ』――防御力が一定時間上昇する。効果、効果時間はスキルレベル依存。

 もう一つの地属性魔法は『アース・ブリッド』――石を弾丸のように撃ちだす魔法。威力、石の数、射程距離はスキルレベル依存。


 ……うん。バランスは良い。瞬発力アップで回避力や攻撃力が上げられるし、防御力アップでダメージを減らせる。

 さらに攻撃魔法もある。うん……生産者でもある程度は戦えるはずだ。


 後は……武器と防具か。武器はなー……俺が素手で人の話を聞かずにスライムを倒しちゃったからうやむやになっちゃったんだよな。

 当分は素手か……いや、もしかしたら仕度金とかあって、それで装備をある程度整えられるかも……


 変わらず気持ちよさそうに俺に撫でられているアイリスに苦笑しながら、俺はメニューのアイテム欄をクリックし、所持金を見ようと――

 そんな時だった。一通のメールが入ったのは。





 笑いが無い……だと? ……基本、主人公は心を許した相手――しかも相手がちゃんとツッコミをできないとボケません。ツッコミはしますが。全裸待機しようとも一応まともな成人男性……のはず。


 ちなみに主人公は気付いていませんが、香坂と追いかけっこした時のダッシュやジャンプの経験値を足してのスキルlvとなっております。走行、跳躍は戦闘系――パイロット系のスキルなので、生産者には上げ辛いのです。


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