鐘が鳴るということは
「音」がもたらすのは幸運か、それとも破滅か――。
真夜中の部屋に響く、静かな金属音。音が鳴るたび、机の上に現れる奇妙なお金。
最初は小さな臨時収入のつもりでした。しかし、その音が重く不気味に変わり始めたとき、「かね」の真の恐怖が姿を現します。
言葉の裏に潜む悪夢を描いた、短編ホラーをお楽しみください。
チリン、と澄んだ金属音が真夜中のアパートに響いた。
音が鳴るたび、何かが「出る」。
初めは少額だった。音が一度鳴ると、机の端に百円玉がぽつんと現れた。二度鳴れば五百円玉。男は不気味がりながらも、臨時収入に密かな歓喜を覚えた。お金が増えることに害はない。
そう思っていた。
ある夜、音の質が変わった。ジャラジャラと重い、不穏な金属音が連続して鳴り渡る。
「おい、もうやめろ……!」
男が叫ぶと同時に、大量の硬貨が天井から土砂のように降り注いだ。足元を埋め尽くす銀色の波。だが、出てきたのはお金だけではなかった。
冷たい硬貨の隙間から、青白い人間の指先がニョキリと突き出た。続いて、バラバラに切断された手首や腕が、チャリンと音を立てながら金貨のように這い出てくる。
「かね」が鳴ると、確かに「で始める」。
男の絶叫をかき消すように、頭上で最後の鐘が豪快に鳴り響いた。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
**「金が成る」と「鐘が鳴る」、「出る」と「出始める」**という言葉遊びから生まれた短いホラーです。
日常に潜むちょっとしたダジャレも、視点を変えると恐ろしい怪異に姿を変えます。真夜中に不審な金属音が聞こえても、どうか浮かれて拾おうとしないでくださいね。
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