桜の木の下で
明は桜並木の下にいた。今日幼馴染であり、恋人の美知恵と会う日だ。とても楽しみだな。美知恵は小中高ともに一緒にいた。だが、大学は違っていた。自分は東京の大学に進んだのに対し、美知恵は神戸の大学に進んだ。初めての遠距離恋愛は少し不安だったが、それを乗り越えて、再び大阪でそろって就職する。寂しい日々だったけれど、ようやくまた一緒になれる。これからは交際しながら愛をはぐくんでいこうと思っている。
ここの桜並木には思い入れがあった。この桜は、高校を卒業して、これからそれぞれの道を歩む前に見に行った桜だ。もし、4年後にまた大阪に戻ってきたら、ここでまた桜を見ようと思っていた。この風景はあの頃と変わらない。まるで、4年後に2人が帰ってくるのを待っていたかのようだ。
明はスマホで時間を見た。そろそろ美知恵がやってくる頃だ。
「もうすぐやな」
「お久しぶり!」
明は振り向いた。そこには美知恵がいる。遠距離恋愛で、あまり会っていなかったが、今日、久しぶりに会った。あの時と顔が変わらないな。だけど、美知恵は大学での4年間で成長した。明もまたそうだが。
「みっちゃん!」
明は笑みを浮かべた。実際に会うのは本当に久しぶりだ。とても嬉しいな。元気にしていたんだろうか? 大学での友達はたくさんできたんだろうか?
「明くん」
「卒業おめでとう!」
「みっちゃんも卒業おめでとう!」
2人は、お互いの大学卒業を祝った。これから社会人になるけれど、もっともっと頑張っていかなければ。そして、結婚できるようにならなければ。お互いこれから、どんな子を設けるんだろうか? 明に似た子か、それとも美知恵に似た子だろうか? いずれにしろ、いい子に育ってほしいな。
「おおきに」
2人は桜並木を見上げた。桜並木には多くの家族連れやカップルがいる。彼らを見て、2人は思った。彼らの家族連れのように、幸せな家庭を築きたいな。その為には、この間に愛をはぐくみ、もっと親密にならないと。
「きれいな桜やね」
「うん。また見られてええな」
4年間、いろいろあったけれど、こうしてまたあの頃と同じ桜並木を見ていた。とても懐かしいな。あの時と変わらない風景だけど、どうしてこう思えるんだろうか?
「ああ」
「コロナ禍でなかなか会えへん日々が続いたけれど、こうしてまた会えて嬉しいわ」
2人は、またこの桜並木の下で会えたのを喜んでいた。そして、これから交際していき、愛をはぐくんでいこうと思っている。
「ほんまやね」
「4年間、どうやった?」
2人は4年間を振り返っていた。それぞれの生活を始めようと思っていた矢先に新型コロナウイルスが流行して、何もかも自粛ムードになった。入学式が行えず、講義もリモートばかりになった。孤独で寂しくなりそうになった。そんな時は、電話で2人でやり取りをして、寂しさを紛らわした。そして、コロナ禍が終わった頃に、2人は大阪で再会した。あの時は本当に素晴らしかったな。ずっとこんな日々が続けばいいと思ったけれど、それはまだ先の事だ。卒業したら、一緒にいよう。そして、結婚しようと思っていた。
「コロナ禍でいろいろ大変やったけど、ええ4年間やったわ」
「そっか・・・。ウチもそうやったな。大変やったけど、こうして大阪に戻ってこれたわ」
美知恵も大変な日々を送っていたようだ。お互い様だな。大変だったけれど、こうして再びここで会えて本当に嬉しいな。
「嬉しい?」
「うん」
2人はまた一緒にここで暮らせる喜びをかみしめていた。
「大学での4年間は遠距離恋愛やったけれど、これからは一緒にいような」
「もちろんやよ」
ここで一緒に飲みながら、お花見でもしようかな? そろそろお腹が空いてきた頃だし。
「ここでお花見をしよか」
「うん」
2人は桜並木の下で、シートを広げて、お花見を始めた。周りの人々もお花見を楽しんでいる。みんなもとても嬉しそうだ。
明は持ってきた缶チューハイを出した。美知恵も缶チューハイを出した。
「カンパーイ!」
「カンパーイ!」
2人は缶チューハイを飲み始めた。遠距離恋愛で再会した事はあるけれど、一緒に飲んだ事は全くない。こうして桜並木の下で一緒に酒を飲む事ができて、本当によかったな。
「一緒に飲むお酒って、うまいわ!」
「うん!」
明は思った。来月、就職したら、近くの居酒屋で一緒に飲みたいな。そして、それぞれの仕事の日々を語り合いたいな。そして、その中でより一層愛をはぐくみたいな。
「就職してから、どこかの居酒屋で飲みたいわ」
「うん!」
そして、明は思った。来年もまたここで桜並木を見ながら、お花見をしたいな。その頃には、2人は結婚しているんだろうか? わからないけれど、できれば結婚していたいな。
「また来年も、この場所で桜を見れるとええね」
「もちろんやて」
2人は、桜並木を見ながら、これからの2人の事を思い浮かべていた。




