【謎展開】あーもうメチャクチャだよ【続きは無い】
とある男が巻き込まれたトラブルの冒頭のみ。
続きはありません。
「残業残業でもう、ツラい。 辞めたい。 でも繁忙期だからなぁ。 しかし、40代の体には残業で激務はキツいよなぁ」
俺は心身共に草臥れて、夜の街を歩く。
今は繁忙期で、事務方であるはずの俺でさえ駆り出されて残業続きになってしまう。
それで帰る頃には午前様。
もうクタクタである。
こんなでも腹は減る。
「この時間で空いてるの、コンビニかファストフードのバーガー屋位なんだよなぁ……昔との価格差でげんなりしようが、コンビニ飯とどっちかしか選択肢が無いもんなぁ」
愚痴りつつもファストフード店へ足を向ける。
「…………いただきます」
ファストフード店の道路に面した窓際の、お一人様席がズラッと並んだ所の一席について、受け取ったバーガーの包み紙を開ける。
店の窓は良くある大きなガラス窓で、外から椅子に腰掛けてバーガーをモソモソ囓る様子を全身曝け出して丸見えの席だ。
そこに座って、疲れ切った体のまま腹にモノを詰める。
疲れ切っているからと食べないままだと、栄養不足で僅かな疲労回復すら望めないだろう。
なので無理してでも食べねばならない。
…………家に帰っても誰も居ないから、食事が用意されていたなんて事も望めないしな。
食を進め、最後のひと口を放り込んだ時に、思いがけない事が起きた。
「っ!?」
何かとても強い光が目に飛び込んできたのだ。
この強さはまるで、ネット空間で飛んできたミサイルをネズミが電気で迎撃した時にビカビカした光の奔流のような。
こんなのを直視するわけにはいかんと、反射的にギュッと目を閉じる。
………………それと同時にもう一つ異変があるらしい。
なんだか股間がムズムズするのだ。
最初はなんかポジションが悪いのかなぁ? 程度だったのだが、次第に強くなり夏で蒸れた時に襲われる痒みにも似た……。
うおおおぉ! 眩しくて目を開けられないから立ち上がるのは危ないし、外から丸見えの場所で股間を搔くなんて恥ずかしくて出来ないっ!!
なんだこの即席地獄はっ!!!
この地獄に耐え続けること30秒(体感)
いや強い光からよけるのに体を回転させても変な動きじゃないのでは? と言うか食べ終わったんだから食事に使ったトレイとかの片付けで席を立つのも自然の流れじゃね?
と思い至れた頃には光が弱まり、股間のムズムズもおさまってきていて、不意打ちで地獄を体験して思考停止していた事を悔しく思う間もなく。
もう大丈夫かな? と恐る恐る目を薄く開けた時に、視界に入っていたモノに目が吸い寄せられた。
そのモノとは、窓から見下ろす外の道。
そこにはもう日付が変わっている深夜だと言うのに、人通りがそこそこあるのだ。 その位には都会である。
言い直すと、歩道で他の通行人より速く歩く白い影があった。
人混みで目立つ、ひたすらに白い人影。
俺はそれから目が離せず、見えなくなるまで席に座って見送った。
さて、店を出て帰ろう。 そう決めて席を立つ。
ちなみに店のトイレを借りて股間の具合を診ようとしたが、なぜか修理中で入れずじまいだ。
このまま股間の問題は我慢して帰宅するかー。
なんて暢気に店を出た直後だった。
「ちょっと良いですか?」
「はい? …………はい!?」
俺に話しかけてきたのは、出る前に見ていた白い人影だった。
……まあよくよく見れば、ただ白衣を着て大きめの立体マスクをかけているだけの男だったが。
「私になんの御用でしょうか?」
なんだか本能的に警戒してしまう。 自然と仕事中の気分になり、営業スマイルが顔に貼り付く。
相手はそんな対応に慣れているのか気にしないのか、話を続ける。
「貴方には来て欲しいところがあります」
と思ったが、いきなりぶっ込んできた。
「来て欲しいところ……とは?」
白衣の男は無機質な声……だが妙にキラキラしつつジメジメした瞳をこちらへ向けていて、それが余計に警戒心を産む。
なんと言うか……大昔に、小学生低学年の頃に友達とした野遊びで、昆虫を捕まえて実験していた頃の友達の瞳と言うか。
「我々の研究施設に来て頂きたいのです」
ほら、そんな瞳だ。 実験動物を見るような。
なので俺がいい気分になるなんて絶対に無い。
「お断りします。 明日……もう日が変わったから今日か。 仕事がありますので」
俺としてはこれで去る気だった。
しかし目の前の男は違った。
「あー、貴方が勤めるシャイニングシフトさんは今繁忙期で忙しいですよね。 そこで抜けるのは確かに罪悪感がありますね。
……そうだ、我々の所はそちらとコネがありましてね、貴方を指名して出張扱いにしてもらいます。 これで問題ないですよね?」
「………???」
理解できなかった。
確かに勤め先はそこだ。
なぜそれをコイツは把握しているのだろうか。
そして他社なのにそこまで干渉できる権限。
これはどう受け止めれば良いんだ?
ウチの会社に親会社があるなんて聞いたことは無い。
会社にとって重要な取引先位は俺だって把握しているが、そこの系列に研究施設は無かったはずだ。
「いえ、ですがそれは……」
と抵抗していたが、それを気にせず男がどこかへスマホで電話をかけ、その数分後には俺の方の会社から貸与される仕事用スマホに電話がかかってくる。
『お前はこれから長期出張だ』
「は?」
要約すると、直属の上司からのそんな指示だった。
「では、どうぞこちらへ」
「はぁ?」
理解なんて出来ないまま白衣の男に引っ張られ、少し離れた所にあったバンへ押し込まれる。
「はぁ?」
車の窓には遮光シートが貼られていて、外が全く見えない。
どこへ行くのかが全く分からない。
不安だし逃げるのにトイレを申し出てみたが、我慢しろの一点張りだった。
「着きましたね、どうぞ」
車から降ろされた先は、どこかの大きな地下駐車場らしき場所。
そのまま窓が無いエレベーターへ案内され、エレベーターからおりて連れてこられた所はホテルっぽい構造の部屋。
「不自由にはさせないつもりですが、何かありましたらルームサービスへ電話して下さいね」
やはりホテルっぽい所だな。 しかもビジネスホテルみたいな必要最低限の部屋ではなく、観光ホテルみたいな余裕のある内装と広さの。
だがやはり窓は無い。 窓っぽいモニターがあるのは確認できたが。 空気の流れはあるから、恐らく空調と空気清浄の機器位はあるのだろう。
「いやー、今時両親も親戚も、特別仲良くしている相手も居ない独身男性で、居なくなっても騒がれない人材なんて確保が難しくてね。 貴方みたいに丁度いい人が見つかるなんて、本当に我々は運が良かったですよね!」
「は?」
「素直に来てくださって本当にありがとうございます」
「はぁ?」
白衣の男が部屋を去ってから、捨て台詞は無理矢理気にしないことにし、なんだかんだ気になってた股間の具合を確かめるため、トイレを探して駆け込んだ。
すると…………。
「無い? なぜ?」
男の俺に付いていて然るべきモノが、ソコから綺麗さっぱり消えていた。
ファストフード店での謎の光は、実は男の股間に当たってました。
その光はいわゆる、チ◯コもぎれビーム。
主人公のオッサンは謎の研究施設で研究している実験に、無作為に選ばれたモルモット。
経過観察以外にも、チ◯コをもぎるだけじゃなくて肉体も異性にしてやろうと、あれこれ実験をする被験体として軟禁されました。
いちおうそうする目的がその研究施設にはあるんだろうが、知らん。そこまで書くとクドくなる。
んでそのまま3年後には、立派な同年代(より少し若い見た目)の異性の肉体に、骨格から変わってしまいましたとさ。
補足
いま調べたら骨が全部生まれ変わるのに3〜5、年を取ると更に長くなるみたいなので、骨格が変わりきったのが最短の3年で。
本当は2・3ヶ月と書いていたんですが、もう少し科学に寄ろうと変更しました。




