表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

スーツは戦闘服、でも心は裸。

作者: イスコ

テーマは「エントリーシートに染みる青春の幻影」。

どこか苦くて笑える、就活文学の一篇をどうぞ。

履歴書に、僕の22年を詰め込む。

A4一枚。余白、行間、フォントサイズ11。

夢?志望動機?長所と短所?

そんなもの、文字数制限で圧縮されて、どこかの誰かのテンプレに限りなく近づいていく。


「なぜ当社を志望したのですか?」


えーっと、それはですね、御社が「人を大切にする会社」って書いてあったからです。

違うな、本当は…「潰れなさそう」って思ったからだ。

でもそんなこと、面接で言ったら爆散する。


SPIの数列に魂を削られ、GDグループディスカッションでは「仕切り屋」のポジションを取りに行く。

だってリーダーシップって、評価されやすいって就活垢の人が言ってたから。

何人もの“自分らしい自分”が、僕の中でオーディションをしている。

“素の自分”は、今日も待機室で待機中。


「自分を色に例えると何色ですか?」


ああ、この質問。来たな。

“空のように広く、どんな色にも染まるブルーです”

…って、それ何人目だよ、染まる系ブルー。


ほんとはね、グレーだよ。

宙ぶらりんで、どこにも馴染めない、でも消えないグレー。

でもそんなこと書いたら、「やる気が感じられない」って言われるんだ。


駅のホームに立ち尽くして、ネクタイをほどく。

革靴が、やけに重い。

スーツを着るたび、僕の「らしさ」はどこかへ隠れてしまう気がして。

でも、まだ捨てちゃいけない気もして。

社会人未満、学生以上。

この“半熟の自我”を、誰がすくい上げてくれるんだろう。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ