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クズな男がスキな理由  作者: あおぽん
3/3

2.波に乗るおさるさん

 1人暮らしを始めた21歳春。

 駅名さんと別れてすぐに連絡をくれたのがこの人。

 波に乗るお猿さん略して波乗りさん。

 趣味がサーフィンで年中肌が茶色くて、なんだか猿っぽい人。(どんな?)

 細マッチョで目がキラキラしていて、少年みたいな人だった。

 波乗りさんとの歴史は長く、遡ること高校生の頃。

 私と波乗りさんは高校が一緒で、クラスも2年間一緒だった。

 面白いところに惹かれて波乗りさんをスキになり、告白したけどあっけなく振られた。

 私はその後すぐにスキな人が出来て、波乗りさんのことは忘れていたのだけど...。

 波乗りさんの方から連絡が来て、卒業後も何度か2人で会っていた。

 社会人になってきっぱり会わなくなったのだけど、何度か連絡はあった。

 私は振られた側なのに、何故だか連絡をされ続けていたのです。

 しかも、私が恋愛停滞期の時に丁度良く連絡をくれるの。 

 でも私は駅名さんと別れてすぐは会わなかった。

 だって、波乗りさんと会ってしまったら抜け出せなくなるって分かっていたから。

 この人は私から言わせてみれば魅力の塊だったからね。

 それにもう振り返るべき案件じゃないし、心機一転したい気持ちもあったから新規の男に行こうと思っていた。

 だがしかーし、私は海がダイスキで、波乗りさんは海にとっても詳しい訳。

 私はよく夏に海へ行くから、海の話がしたくて連絡を取ってしまったの。

 あのね、連絡を取ったら最後なの。

 本当に面白い人だから会いたくなってしまうのよ...。

 誕生日を迎えた22歳の夏、とうとう2年ぶりに会ってしまったのでした。

 久しぶりの再会は職場まで波乗りさんが迎えに来てくれて、私の家へ直行。

 何をしたかって!?

 そりゃあもうめちゃんくちゃんにやったりましたわ!(?)

 お互い、あーこれこれってなったくらいフィット感がエグかった。

 さすが腐れ縁だなと思った。

 ヤり終わった後、波乗りさんが牛丼を食べたいって言うから一緒に車で買いに行ったのね。

 そしたら突然ゲリラ豪雨が来ちゃって、お互い傘を持ってなくて...。

 駐車場から牛丼屋まで距離があったの。

 波乗りさんがその日お気に入りの靴を履いて来たみたいで買いに行くの戸惑ってたのね。

 だから私ビーサンだから買いに行こうとしたらそれは止められて。

 どうしようかと考えていた波乗りさんの目が突然輝き出して、良いことを思いついたと言ってきたの。

 なぁに?と尋ねてみたら衝撃の一言。

 「俺裸足で行く!海で裸足慣れてるから!」

 私の頭の中ははてなだらけ。

 え?????????????

 「いやここ陸だから!」

 と返した時にはもう波乗りさんは裸足になっていて、買いに行く気満々で。

 誰の目を気にすることもなく楽しそうに裸足で店内へ向かったのでした。

 この衝撃的な話、信じられない!無理!と言う女の人が多いのではないだろうか?

 常識がないと言われてしまえばそう。

 確かに、恥ずかしいと思う人が多数だと思う。

 でも私は違った。

 その一件がすっごく面白くて、あぁやっぱりこの人は可笑しい!また会いたい!と思ってしまったの。

 私って変わってるよね。

 これを機に、波乗りさんとは付き合わないけど会う関係が始まったの。

 昔スキだった気持ちをすぐに取り戻すこともなく。

 この関係に名前を付けるならセ⚪︎レ。

 だって、私は駅名さんの時に懲りたの。

 大人の恋愛は疲れるし、愛し愛される関係むず痒い!!

 その点波乗りさんは楽。

 これは歪んだ私の考えなんだけど、あの時はこの上ない選択だった。

 波乗りさんとは家が近かったから、本当に都合よく会えていた。

 突然行っていい?と言われて、私も突然今日来ない?と誘う関係。

 因みに、家が近すぎるから連絡から10分も立たないうちにピンポンが鳴ることもあった。

 私の家は常に綺麗にしてあるから、どんな状況でも対応出来ていたの。

 毎日家がちゃんと清潔だと、簡単に人を家にあげることが出来るんだなーとバカみたいに感心していたっけ。

 会う頻度は平均で言うと週に1.2回。

 波乗りさんは海の匂いを漂わせながらサーフィン帰りに来たりしていた。

 私は海の匂いがダイスキだから、髪の毛を嗅ぐのがスキだった。(変態?)

 私たちはマジのセ⚪︎レだから、ヤる為に会ってたけど、悩みを打ち明けあったり、色々と話し相手にもなっていた。

 居心地のいい状態を続けていたら、あっという間に半年経った。

 いつものようにヤった後、私が下着を探していたら、波乗りさんが見つけて頭に下着を乗せてきたのね。

 その時急に波乗りさんが真面目な顔して私にこう言ったの。

 「付き合ってみる?」

 私はその言葉に、凄く驚いた。

 「え?誰と?」

 「俺と。」

 いつもとは違う空気感。

 私はとてつもなく恥ずかしくなってヘラヘラ笑ってしまった。

 「やっぱいーや。」

 波乗りさんがそっぽを向いてしまったので、私は慌てた。

 「付き合ってみよっか?」

 そう尋ねてみたけれど...。

 「でも俺自由が良いんだよなぁ!」

 そう言われてしまって、結局付き合わなかった。

 セ⚪︎レと割り切っていたけど、付き合うという言葉を聞いて、私は段々意識をし始めた。

 波乗りさんとなら気兼ねなく付き合えるのではないかと思うようになった。

 私の様子が変わったことに、波乗りさんは気付いていたんだと思う。

 「ほんとお前俺のことスキだよな。」

 そう言われるようになったの。

 私は素直にはなれなくて...。

 「スキじゃないけどステキだと思っているよ。」

 そう答えていた。(返事可愛いかよ)

 割り切ると決めていた関係が、半年以上会っていたら変わり始めたの。

 ある時、波乗りさんが私に女の子とどうこうあったって話しをしてきたことがあって。

 その時私気付いたんだ。

 勿論付き合ってないから他の人と何しても良い訳。

 ていうことは波乗りさんに女の子が出来る可能性がある。

 でも、私は側に男の人がいれば他の人のことを見れなくなることに...。

 波乗りさんと会ってる時も合コンとかあったのに、私は他の男の人を見抜きもしなかったの。

 ていうことは、私に他の男が出来る可能性はない。

 波乗りさんに女の子が出来たら私もう終わりじゃん!

そう思ってしまった。

 1人の男の人で満足できるなら付き合った方が良いし、付き合わないなら関係をやめようと決断をしたのね。

 そのことを波乗りさんに伝えたら...。

 「自由でいたいからこの関係が無理ならもう会わない。」

 そう言われたの。

 急に私が考えを変えたことがきっかけで、潔く波乗りさんとの関係を切ったのでした。

 関係を切って1ヶ月後...。

 『これで最後にするから会わない?』

 とLINEが来たの。

 もう会わないと思っていたけれど、求められると弱いから会ってしまった。

 会ったら最後、やっぱり面白い人だからその後も何回か会い、セ⚪︎レ期間を伸ばしてしまったのでした。

 でも、私は前のようにまたずるずる続けようとは思わなかった。

 23歳になった夏...。

 波乗りさんと再会して1年経ったことを節目にして、私はこの関係に終わりを告げた。

 私の中で1番盛り上がったのは付き合いそうな時期。

 それ以降はこの人から離れよう期間だったし、これでファイナル!を続けていただけ。

 波乗りさんもきっと、他に誰もいないから会い続けていただけだと思う。

 お互い依存しかけていたから、それではダメだと思って関係を切ったのは私。

 こんな潔く会わなくなったけど、スキだった気持ちが再熱した時は私も考えた。

 セ⚪︎レを選んだ以上スキになっても仕方ないから、少しは考えた。

 私に取って何が1番幸せ??

 いつか良い女の人がいたら、そっちを選ぶ可能性が高い波乗りさん。

 それでも会える方が幸せ?

 それとも今のうちに関係を経って、違う男の人と出会うのが幸せ?

 そうやって自問自答した。

 気付けば1年も会っていて、情も湧いてしまっているし、1番良くない状態だった。

 だから、私はもうやめることを選択した。

 波乗りさんは、最低だけど最高な人だった。

 変だけど時々まともで面白かった。

 優しくないけど時々優しかった。

 辞めようと思ってもラスト1回を繰り返してしまう程会いたい存在ではあった。

 サーファーだから、良い波が来たら飛んでいくような人だった。

 これからも趣味を楽しんでほしい。

 そう思って関係を切った。

 セ⚪︎レには終わりがないと思っていた。

 記念日とか別れとかないし、めんどくさくない、楽な関係だと思っていた。

 でも、関係を続ければ情が湧くし、別れは来ることに気が付いた。

 どうせ湿っぽくなるなら、今度は人と付き合おうと誓いました。(だがしかしこの誓いは甘かった)

 

 

 

 

 



 

 

 

 

 

 

 

 

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